五感

耳の不自由な彼は
音が見えた
と 言った

わたしには聞こえただけだった

目の不自由な彼女は
色が薫った
と 言った

わたしには見えただけだった

後ろめたくなかった
ことなんてない

おまえはどんな嘘をついてきた

面白いなんて
慰めを言うなよ

持てる者の嫌な臭いがするだけ

なけなしの語彙を
引っ掻き回しながら
五感と渡り合う

なんて みっともない

言葉

五感

邪魔なのはどっちだ

それでも書かずにいられない

投稿者

東京都

コメント

  1. はじめまして、雨音陽炎と申します

    五感と言葉
    どっちが邪魔なんでしょうね

    それでも書かずにいられない
    というのはわかりますね
    私もそうです

  2. @雨音陽炎 さん
    >コメントありがとうございます
    先日、障碍者の方々が書かれた詩を読む機会がありまして
    いくつか「気づき」をいただきました。
    失くした感覚を他の正常な感覚で補うばかりでなく
    思いもしないアプローチで詩が綴られていました。
    なんだか背中を押されたような気がしました。

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