068

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逃げ出したくて
吐いた嘘を
骨は知らない

抗いたくて
千切った縁を
骨は知らない

痛んで
悦んで
肉がくたびれていくのを

誤魔化して
宥めすかして
心がたるんでいくのを

骨は知らない

何も

知らないから
骨だけが
最後まで美しい

投稿者

東京都

コメント

  1. 骨は知らない

    でも、骨身に染みるという言葉もあったり
    骨の髄までなんちゃらという言葉もあったり

    自分が死んで、骨だけになったときに
    この詩のように、もしも美しくあれたなら
    ちょっと救われたような気がするかもしれませんね

    そんなことを、ふと感じました

  2. 肉体の根本である芯の部分がゆるぎないものであることを痛感しました。
    いろいろなもので肉付けをしていても結局、人間の根本は清らかで、常に良く在ろうとしている。
    すべてをはがしたときに、それだけがとても美しく残るのだということが皮肉で、でもとても大切なものなのだということに気づかされます。

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