皮膚病の犬
皮膚病の犬が
皹割れた西瓜に鼻を突つ込んで
貪り喰らつていた
何かの内蔵を喰らつているのかと
二度見三度見したのだが
喰らつているのは
確かに西瓜の果肉のやうで
皮ごと顔ごと
赫い汁々はだらしなく垂れて
腹毛からふぐりまで到ル
背の疣々
首輪痕
蛭舌
犬という名前
womanwomanwomanwomanwoman
・
そして
私は畦道を引き返す
二度見三度見しながら
皮膚病の犬が
いなかつた事にしようとしていた。
皮膚病の犬が
皹割れた西瓜に鼻を突つ込んで
貪り喰らつていた
何かの内蔵を喰らつているのかと
二度見三度見したのだが
喰らつているのは
確かに西瓜の果肉のやうで
皮ごと顔ごと
赫い汁々はだらしなく垂れて
腹毛からふぐりまで到ル
背の疣々
首輪痕
蛭舌
犬という名前
womanwomanwomanwomanwoman
・
そして
私は畦道を引き返す
二度見三度見しながら
皮膚病の犬が
いなかつた事にしようとしていた。
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コメント
とても懐かしいこの感覚。
ざわざわしました。
「老犬」というある方の傑作が昔ありましたね。
二度見三度見四度見して、この天才的な感覚に打ちひしがれました。並んだwomanが遠吠えのように聞こえました。
ほとんどホラーに近い不穏な空気感。womanの連続による文の切断という離れ業。驚くべき作品です。
他作品にも言えることですが、まず字の使い方が好物なのと、何とも言えない情景が実に独特で、私までwomanwomanと吠えてしまいそうです。