大武勇伝

白髪頭をふさふさにつけた骨が、30年振りに戦後を訪れに、大豪傑の一家を訪問しました。

大豪傑の父親:俺は、敗戦後、闇市から逞しく育ち、ナイフを忍ばせて、映画館に入り良く映画を無料で見た。14の坊やで、可愛がられたよ。女は千人は切った。

大豪傑の息子:俺は、こんなバカな男にはなるまいと、親を反面教師にして一所懸命勉強した。
図書館にある本は、全部読んだ。息子は親のような不良にはしまいと、ボコボコに叩いた。それが祟って病気にまでなったほどだ。

大豪傑の孫:俺は、厳しい父親に育てられて、決して他人に心を開かない頑なな心を手に入れた。
耳は幼少期から潰れて幻聴が聞こえるようになっていた。それでもその耳で音楽を作り、売れそうにないと分かった瞬間、ぐれてしまい、社会に復讐した。放火事件を起こしたんだ。

大豪傑の孫の弟:私、バカばっかりだって、悲しくなって、漫画家を目指して漫画を描いてます。
大して面白くないけれど、詩人として賞も受賞してます。自慢話ばかりだけれど、本当はあまり自信がありません。天才肌だと思ってます。社会に対する復讐なら、やっぱり社会の扉でしょうって、人前で睾丸を見せつけて、逮捕されました。責任能力を示して、刑務所に入れば、精神障害者を辞められると思ったの。入院するって、市役所の生活保護課と、大病院から脅されてたのよ。結果責任能力は認められずに、人権団体に勝手に無断で、保護入院させられちゃったわ。マスコミは無視したの。きっと国とつるんでるんだわ。
でも、私諦めない。きっと、社会に出てやるって、今事業所に毎日通ってます。

毛沢東ならぬ、毛沢山とまでに、戦後の現状を知った白髪頭ふさふさの骨は、こう言いました。
「もう武勇伝は、うんざりだ。私は、満州へ行って人を殺し、夜までうなされたが、てめえらみたいなろくでなしのトンチキどものために、一所懸命働いたんだ。それが1番の武勇伝だよ!」
おしまい。

投稿者

静岡県

コメント

  1. 幸福な話も不幸の話も、云いすぎると自慢に聞こえてしまうものらしいです
    ひとの(この詩の場合は先祖代々の)武勇伝も、聞いてる方はうんざりなのかもしれないですね
    多分そういうのは自分で触れ回るものでないのかも
    きっと誰かほかのひとが、あのひとは頑張ってるな、一生懸命だな、闘ってるなって
    どこかでそっと見て、思うものかもしれませんね

  2. @雨音陽炎
    そうですよね。威張ってる人はみんな嫌いなんですけど、誰が威張ってるかによる気がするんです。
    拘束されることも皆嫌いですが、誰のなにを拘束する必要があるかと言うことも真剣に考えないといけないですよね。
    憲法とは、権力を縛るものだと言う話を聞いたことがあります。
    親世代の高圧的な自慢話とか、説教であるとかエピソードの一つ一つの中に人生経験が滲み出たものもあるけれど、戦争で人を殺してきたかの如く、他人を傷つけてきた過去を正当化し、自慢する不良の悪自慢話はうんざりするものです。

    親が息子を厳しく育てるために殴ったとか、高圧的な上からの自慢話は、醜くってとても聞けたものじゃない。
    戦後79年で今日は私の誕生日でもあったため、私のおじいちゃんを詩の中に登場させてみました。

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