エターナル
組織から逃げ出した香風
しげれるオミナエシのかたわらに
慄然として立つ汝に問う
チャウスカシカのエナメルの帽子はすでに
きらびやかなシャネルの冒頭より帰帆する
銃撃されることよりも、弛緩した鉛の指で
その反物質の周囲に
重力場の嫣然たるほほえみを
期待する侯爵のためにも
日本製の花瓶がテーブルに飾られている
大きなダリヤ
遠隔操作されているマイセンの女神像
それからあなたはサイクロンの表情で
このカシオペアのギターを胸に抱く
淡雪のしだれやなぎの
ひとっこひとりいない川岸の
醒めた香水の瓶にうちふるえ
ようやくの防空システムに倶利伽羅尊者が手をうって
よくぞここまで参らせ申した
時刻変容の八谷渓谷にて
閻浮提機械はおもちゃ箱にてござそうろう
南京町の正月料理にタコの酢もの
凧揚げする子供たちに赤玉ポートワイン
ピストルをかまえた君たちに遠慮はいらない
うちたいものをうて
記念の写真に御朱印をくだされそうろう
テクノポリスのオイトマケ
ふんだんに重力子はあちこちと飛ぶ
ずんだ餅をサービスするおなご衆は
半地下式加速器にて
首から上を整形するのだ
もしも身体全体を彼等に接着するのであれば
時間はもとより
認識もまた
エターナルとする。
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