無知

僕は知らない
この国が豊かだった頃を
かつての人々が
未だに追いかけている光景を

僕が知っているのは
災害と感染症
あと、時々起こる大事件くらい
不景気はずっと世間が騒いでるって感じ

アンラッキーに
日常が囲まれて
それが当たり前になってる

いつの間にか
困り顔をするのも
見るのも慣れてしまった

刺激を探してばかりいるのも
それが原因なのかな

この先どうなるのかな
誰も知らないよね
 
為政者も自惚れてばっかり
希望が持てるとか
だから何だっての

そんなのなくて結構
余計なお世話

何も持とうとしない方が
傷つかなくて良いと
痛まなくて済むと
知っているから

投稿者

神奈川県

コメント

  1. この詩の語り手が無知、というより
    無知な世間を冷ややかな目で見つめてる
    といった感じでしょうか

    何も持たない方が傷つかない
    たしかにそれはありますね
    でも、何も持たずとも
    ひとはいつも何かしらに傷ついたり傷つけたりしていたりもして
    生きている以上は、どうしても避けられないことなのかも

  2. 何も持とうとしない方が
    傷つかなくて良いと
    痛まなくて済むと
    知っているから

    この連が好きです。
    知っているんですね、「僕」は。無知なのは「かつての人々」なのでしょうか。

    時々、「放てば満ちる」という言葉を思います。
    無知の知、という言葉もありますね、私は、難しいことは分かりませんが。

    会話調の文の流れが この詩のリズムで、読みやすく工夫されていると感じます。

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