諦念ブルース

想像力の世界に生きていると、空から千のブルースが降ってくる
諦めることは決して後ろ向きのことじゃない。

夕日は淡くオレンジで、夜に向かって沈んでいく。これで良いにしよう。
貴方と私は違う。これで良いにしよう。
詰まるところ結局は人は一人だ。これで良いにしよう。
コーヒーを飲むと心が落ち着く。これで良いにしよう。
朝起きると心が満杯で、仕事の時間まで庭の外をグルグル歩き回る。これで良いにしよう。
とにかくご飯を食べてエネルギーを蓄え、しっかり働く。これで良いにしよう。
人生を賛美し、神にありがたきと天に向かって手を合わせる。これで良いにしよう。
日中体を疲れさせ、その体で夜はぐっすり眠る。これで良いにしよう。
良き音楽を聴き、良書を読み、素晴らしき映画を見て、美と官能に心を任せる。これで良いにしよう。
空は青い。時に紫だ。オーロラが出る夜だって、きっとある。これで良いにしよう。
神は素晴らしい。神は絶対だ。神様には絶対に逆らえない。これで良いにしよう。
歌が大好きだ。踊ったり跳ねたりスイングしたり、人生は素晴らしい。これで良いにしよう。
愛は素晴らしい。愛は四角くて丸い。形にすら捉われない。世界は、薔薇色だ。これで良いにしよう。
灰色のカビ臭い路地裏を歩く時、野蛮な人達の嘆き呻き、野次を飛ばす叫び声がする。世界はゴミ箱の中にスッポリ収まっている。誰もこの世界を変えられない。これで良いにしよう。
涙の滴が流れる。愛を知らない身体で、誰かの抱擁を思う。そこにいるのは、愛を願う哀れなみずぼらしい自分。汚い、汚らわしい、汚れた男。縞々のパンツと、皮肉たっぷりのジョーク。其れでも笑ってくれる人がいる。これで良いにしよう。
音楽が終わってしまうと、思考の塊だけが残る。眠くなれば身体はひとりでに眠り出す。
明日になれば、また希望の光が昇る。これで良いにしよう。