ア。

ア。
息を吸う瞬間に、
何かが始まるような気がした。
曖昧な風が頬を撫でて
世界が少し揺れた気がする。

ア。
何も見えないまま、
何かが見つかるような期待が漂う。
音のない夜、静かな部屋の隅で
心の中で小さな声が響く。

ア。
それは言葉ではない。
けれど、全てを伝えている。
届かないはずの何かが届いたとき
その一瞬が永遠に刻まれる。

ア。
始まりでも、終わりでもない。
ただ、その響きだけが残る。
僕たちが忘れていた感情の欠片
風に舞って、空に消えていく。

投稿者

コメント

  1. 素敵な詩ですね。
    それは世界の始まりの音です。

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