母親
毎夜 阿婆擦れの月が
淫靡な触手を伸ばしている
毒虫の腹の光沢 反射するイヤリング
こんな時間になっても彼女は
苺色した口紅塗って
鏡の前で微笑を貼り付ける
母屋の裏で待ち続ける姿
寂しさ と呼ぶのか
新しい顔の男は汚らしく
なおも倒れたままの位牌だった
覗き穴から漏れる囁き声
どんな格好をしてもいいからと
規則正しく並ぶ布団の上で
まずは三枚の紙切れを掴み取って
親しげに乱れ交わる姿
侘しさ と呼ぶのか
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.007: Title by 中村トクシ]
コメント
母親をこういう彩りで語るのは、どこか寺山修司のイメージがあります。よくみると毎夜、毒虫、苺色、母屋とみな母がいて、ビジュアル的にもやはりトノモト詩は練られています。
どうあがいてもマザコンのラベルははがせません。寂しくも侘しくもそういうもんです。
そうですね↑ なるほどアングラな演劇のような風情がありますね。技術的な部分も含めてトノモトさんらしい。
僕には到底書くことの出来ぬ詩です
複雑に構築され時間を経ての己への書かと思います
コメントのやりとり方も苦手でよくわからないのですみません
毎から母になるまでの一連と、新から親になる二連。侘び寂びの対。三万円の売女。あるいは二万五千円、あるいは三千円か。それを覗くのは息子か。
技巧もさることながら、立ち上がるイメージの強さに唸ります。これは完全に好きなヤツです。
書きにくいだろうなーと思いましたが敢えてこのテーマを差し上げたのを記憶していますねー血のつながりってなんなのですかなー僕がこのテーマで書いたら僞悪的になるだろうなーと確信できるから書きません!書くかもしれんけど!