夏の宵

扉を閉ざす木造の二階建て
くねくねと蔓草は壁を匍い
ゆらゆらと庭一面に立つ草いきれ
放たれている階上の窓

若やかな母
途切れがちなる声は切ない
風鈴の音は消えなんとする
いつしか胸に迫る夕闇

甘ったるいほどに重たい
夜を背に
這いあがる遥か花火よ

ひとつ、またひとつ
咲いては闇を蹴散らし
散っては闇に火を落とす

投稿者

茨城県

コメント

  1. この詩から受ける情景が艶やかで風情もあります。

    この詩に流れているのは、大切な思い出のようにも感じられます。その世界と、現在の世界がバランスよく融合しているように感じます。

  2. @こしごえ
    さん コメント、ありがとうございます。いまだ自分の詩風が安定しませんが、とにかく書き続けるしかないように感じられます。

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