灰殻白痴後日譚

精神病院の中庭の泥を踏んだ靴で
祝日の雑踏に紛レ込むや否や
私の方を振り返つてきたのは
蔑み合つた女似の平たい顔であつた 

靴が踏んだ泥は中庭で病院は精神
否や否や紛れて雑踏の祝日に
返つてきて私は振りきられて
女似の平たい顔に蔑まれていたのだ

──灰になつても忘れはしないわ──
──殻付の脳味噌が棄ててあつた──
──白い壁に汚物で日車を描いた──
──痴れてるポオズを見破られた──

紛れること出来ぬと靴は泥に
何処を通つて休んで曲がつて這つて
連れ戻されたンは就薬前だと訊いた
また女の蔑みに還つていく循環

平たい顔の女似の女は黙つて
祝日の中に還つていくのであつた

投稿者

山口県

コメント

  1. 言葉が解体されていくような祝日の雑踏の中、そういう女に愛を持って蔑まれて痛(いた)い。明後日あたり。

  2. 灰白質の中に潜む精神の言語が解体され白痴化していく怖さ。

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