待ち人

どこに行ったのか
私には何も言わなかった
私は何も言えなかった

どこをさ迷っているのか
私は探し続けた
私は待ち続けた

電車で帰ってくるだろうと
駅の改札に佇んでいた

バスで帰ってくるだろうと
停留所に座り込んでいた

家に帰ってくるだろうと
たくさんの御馳走を用意していた

どこで何をしていても
あなたは見つからなかった
あなたの声は聞こえなかった

駅の改札を眺めていても
せわしなく動く人ごみに溺れて

バス停で座り込んでいれば
排気ガスが私を包むこんだ

家で料理をしていたときに
指から滴る血だけが現実を教えてくれた

あなたは決して帰ってこないのだと

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