野の声 (②)
彼女は手を振る
絶望の中で晴れ渡るこの空
ジャンケンできめることにする磔刑の
甘く欲望の野に立つわたしです
そこからカンザスの質屋に質に入れるこのまっさおの草原です
ジャスミンの香りの君の手足も、救われる
ボブカットの君の命も、藍色の雲にひきこまれる
ただこの週末のデビルの
ただひとつだけのかんしゃくだまというもの
薬箱から薬指で軟膏を少しだけ
この唇につけてください
野にみちている、すべての命のこのままに
破裂し、ばらばらとなり、絶命するこのわたしです
野に裂けている密かな気持ちというもの
ダブリンの町の深夜の酔っぱらいの
ただもう、野に出てきてくださいと君がいう
その姿態、そのまるはだかの、絶望
キャンペーンガールの君が野にたたずんで
アイリスの花をかんでいる図
そこから先はヌードで語りなさい
野に声はみちている
あるいは、すくなくとも、デッサンのための
この木炭で君に
愛の線をひく。
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