夕方-どうしようもない虚しさと-
例えば私が灰だったとしたら
きっとあの茜色の太陽に
焼かれてしまったんだ
生涯、一切苦厄の
回る輪廻転生の
少しの気まぐれで私は人なだけ
空気が澄んでいて
いつもより人が少なくて
空が綺麗な夕方は
死んでしまいたい
いろは歌が聞こえたなら
きっとあの頃を思い出して
微笑んでいるんだ
生涯、尽きれば九相図の
見える西方浄土の
少しの狭間だけ今を生きる
風が心地よくて
好きな人を思い浮かべ
幸せな夕方は
死んでしまいたい
祭囃子の鳴る時も
銅鑼の激しく鳴る時も
歌は静かに厳かに
変わらず響く
こんな素晴らしい夕方は
消えてしまいたい
コメント
仏教的で刹那的で、そうだな輪廻転生なら誰の気まぐれで人と生まれたのかな。
もちろんこの詩は仏に関係なくセンチメンタルな夕焼けに浮かぶ一コマ。
こんな素晴らしい夕方は
消えてしまいたい
という感性に惹かれたりする。
いろは歌が聞こえたなら
きっとあの頃を思い出して
微笑んでいるんだ
ここのフレーズ、余韻が残りました。ここだけ、「いろ」とひらがなで表現されています。幾度か繰り返し読んでいて、ここで、読み手として、気持ちがふっと残るんですね。そして、
消えてしまいたい
死んでしまいたい
美の、儚さのようなものでしょうか。…刹那的なものも含まれていますね。
再度、読み直してみたのですが、
いろ は 歌ではなく、
「いろは歌」ですね。
読み違えていたようです。失礼しました。