073
ふしあなから
花と人の裏腹を
垣間見る
ふしあなから
空と嘘の寸劇を
盗み見る
ふしあなだから
肝心なものは
何も見えない
ふしあななんだから
見えていると言う
あなたはペテン師
見えない
見えない
けれどなんとなく
分かってくる頃
気がつく
自分そのものが
世界に空いた
無数のふしあなの
ひとつだということを
わたしの中を
吹き抜けていく
時間と記憶
しがらみとお陰様
やがて
ふしあなのわたしが閉じても
世界は相変わらずの
満天のふしあな
誰が星座になれるって?
コメント
そうですね。長谷川も、ふしあなのひとつなのでしょう。
でも、ときどき面白いものが見えたりします。
人の、珍味、妙味のようなものが。
だから、つい覗いてしまうのかもしれません。
非常に面白いです。読み進めていく先が満天の星空で。暗い穴だと思っていたら、光を通す穴だったのか。
エッシャーのだまし絵のように、見ていくうちに反転していく世界が、気持ちまで塗り替えてくれるようでした。
@長谷川 忍 さん
>コメントありがとうございます
長谷川さんは、ふしあなではないですよ。
人の機微や景色の陰影が良く見える眼鏡をお持ちです。
でも、覗くという行為はやめられませんね。たぶん一生。
@ザイチ さん
>コメントありがとうございます
「エッシャーのだまし絵」というたとえは面白いと思いました。
まあ、詩というのも一種のだまし絵のようですね。
いつも、その謎を解かれるのを待っているのかもしれません。