切通しの道 (③)
アカプルコ産のかき氷です
水着のあなたが銀の匙で食べる
人魚のあなたがとがった歯にしみると言う
ボリビア産のブラック真珠です
あなたの耳たぶに穴をあけてそのままに嵌め込みたいのです
カイコの糸であなたの口を縫い付けて
まぶたの場所も白い糸で縫い付けて
開かれない眼の痛みと言うものについて
わたしとあなたとで語らいましょう、どこまでも、どこまでも
棲み分けられた政治家の地盤と言うものは
カイコの糸のように空中へと伸びて行きます
ひろびろとした選挙権の行使によって、雲を飼いならす
それは瓢箪の中にすんでいる千利休のカバンです
あなたの感応する愛撫と総統のひげのように
クチクラの照り輝いてふもとの村まで朝日がさすのです
敏感な商店街からシャッターの閉まる音が何度もひびく
わたしはこの現実的失望のアーケードの下に立ち
呼び鈴を鳴らすのです
〈はいはいこちら子供電話遭難室〉
行方不明のわたしの子供を探してください
アーケードの下でおもちゃ屋で
突然いなくなったのです
サボタージュの炭鉱夫たちがすすでよごれた服で
この商店街に買い物に来る
そこでは黒い財布からすすで黒ずんだ紙幣があらわれて
小さな子供のための独楽が買われるのだ
アケボノツバキの花がアーケードに落ちている
自転車の兄ちゃんがその花を制圧する
だからわたしの妻の妊娠について、砲撃をやめろ
土が飛び散り
兵士が手榴弾で自殺する
ボンッ
ただひとつの貝の呼吸について
あらためて質問します。
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