女の脚

 にぎわう大通りのバス停
 心無しか暮れ方の鼓動、はやまったような
 とり巻く人影に
 女の脚がふとためらう

 (昨夜、踵にオリーブ油をぬらなかったけれど……)

 コンサートホール前の道端で
 黙りこむ女の脚
 その上 ふうわり秋のそよぎに燻る
 雲の色

 花の様ににこやかな恋を
 風の様に 忘れ果てて歌のでなくなった此の頃
 昨晩、あなたの日頃を占ったら
 悲しみと出た
 私の日頃を占ったらよろこびと出た
 ちょっぴり唇に浮かんだ
 密かな笑み

 そんな 女の脚がヒールの踵を気遣いながら
 しなやかに往く
 

投稿者

滋賀県

コメント

  1. この女の人は、日頃から自分磨きに余念がないのでしょうね
    踵にオリーブオイルを欠かさない
    いつまでも綺麗でありたい、女を捨てたくない
    そんな意識が、ヒールにも表れてるような気がします

    占いで、あの人は悲しみと
    自分には喜びと出たと

    勝った、って思ったんでしょうかね
    ラスト、ヒールをカツカツ鳴らして
    颯爽と過ぎ去ってく女の姿が浮かびましたに

  2. @雨音陽炎
        さまへ

     こんにちは♪ 読んでいただいて、ご感想のコメントをお寄せくださり
    どうもありがとうございます!(*^^*) 嬉しいデス。
     この作品ではヒロインの個性をディテールでそれとなく強調してみま
    した。読んでくださる方それぞれに連想して頂ける面白みが伝われば
    いいなぁ……と思って描きました。
     

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