仕事幽霊飯弁慶、その癖夏瘦せ寒細り、たまたま肥ゆれば腫れ病(新釈ことわざ辞典その6)
三寸の舌に五尺の身を亡す
言葉はクスリにも鋭いナイフにもなりえるもの
どんな言葉だってナイフにもなれば
クスリにだってなれるのに
言葉に取扱説明書なんてないから
使い方も使い道も誤っては
いつでもそれらを振り回してばかりいる
書いた物が物を言う
いくら口で云ってみたって
それは違うよと否定されてしまえばそれまでのこと
証明するのはとても難しい
だからどんな些細なことでも
いつどこで誰に何をどんなふうに云われたのかされたのか
記しておくのは大事
信頼できる人がいるなら その人に話しておくのもいいかもしれない
書いた物が物を言う
動かぬ証拠となって
必ずやあなたの身を護ってくれるはず
愛多ければ憎しみ至る
あの男に似ている あのばばあに似ている
ただそれだけの理由ですべての憎しみが注がれることだってある
それをもしも愛と呼ぶなら 随分残酷な愛もあったものね
愛してその悪を知り憎みてその善を知る
あの娘はかわいいから きっといい娘に違いない
あの人に限って そんな悪いことするはずがない
だってわたしが好きになった人だもの
って 善も悪も長所も短所も
感情っていうフィルターを通せば
いくらでも変わってしまうもの
愛は小出しにせよ
惚れた腫れたも、どっちにせよ惚れた腫れた方が弱くなってしまう
好き好き大好き〜ってハートマーク全開なのバレバレだと
そこに付け込んで 好き勝手にし始めるものよ
なんでも許してもらえるって
欲しがるだけ与えてはダメ
甘いものはとればとるだけ 喉が渇くのだから
少し少ないくらいで小出しにするのが
ちょうどいいのよ
空き家で声嗄らす
あとからあとから抑えきれない感情が湧いてきて
焼き尽くされてしまいそうで
助けてよって 誰か返事をしてよって
だけど 誰も返事をしないこともわかってる
こんな淋しい夜 ひとり部屋の中で声を嗄らしても
誰にも知られることもなく
外ではけたたましいサイレンを鳴らして
救急車が走り過ぎていく
生きてる犬は死んだライオンに勝る
凡人でも生きてる方がいいって
なんだか大事マンブラザーズのそれが大事みたいなこと云うのね
けどたとえ死んでしまったとて
なにかを成しえた人の名は
いつまでも語りつがれ 生き続けているという矛盾
言わぬことは聞かぬこと
云ったのに聞いてない知らないと云われることはよくある
云ったくせに云ってない聞き違いだと開き直られることも
ただ云うだけじゃなく
証拠として文書なりボイスレコーダーなりに残しておくこともまた
必要なのかもしれない
謂れを聞けば有難や
別になんとも思っていなかった人の意外な一面を知ったり
好意を寄せていた人の裏の顏を垣間見たり
いままでと見方が大分違ってしまうもの
なんて頼りないのかしらね
明日は明日の風が吹く
そりゃそうでしょうけど
心配したってどうにもならないって
わかっちゃいるけどやめられないとまらない
なるようになるって
なるようになったためしがないから
やめられないとまらない
かっぱえびせんなんでしょうに
あるは厭なり思うは成らず
好きじゃない人からいい寄られても ただ迷惑なだけ
わたしがいくらあの人を好いたところで
わたしのことを一ミクロンも好きじゃないあの人にとってもまた
ただただ迷惑なだけの話なのよね
悪妻は百年の不作
美人で貞淑で炊事洗濯家事抜かりなく
夫を立て 姑には逆らわず
丸まる太った元気な子を産み
子育てにも一切文句云わない
一体いつの時代の話だよ
美人不美人はともかくとして
女は黙って夫姑の云う事聞いてりゃいいとか
炊事も洗濯も家事も子育ても 一切女に押し付けて
大体いい歳した大人が自分のこともまともに出来ないなんて
飽きれて物も云えないわね
それに子どもにしたって 女ひとりでは出来ないの
自分は責任ないみたいな態度とって
いい父親面なんてしないでもらいたいものだわ
悪夫は百年の不作って 声を大にして云ってやりたいわ
色好みの果ては怪しき者にとまる
自分にはもっとふさわしい相手がいたのに
仕方がないからお前で手を打ってやったんだ
なんてさ
なんであんたが選ぶ側なのさ
こっちだって もっとふさわしい相手がいたのに
仕方なくあんたで手を打ってやったのよ
隔靴掻痒(かつかそうよう)
いつも何かが間違っていたような気がします
うまくいかないのは、きっとそのせいです
だけど 何がどう間違っていたのか
どこから間違ったのか
まるで見当がつかないから
ほとほと困ってしまっているのです
陰に託して影を求む
物陰に入って自分の影を探そうったって探せるわけなんかなかった
そんなごくごく当たり前なことにさえ気付けなかったなんて
わたしったらホント どうかしてたんだわ
ならぬ堪忍するが堪忍
もうこれ以上はとても我慢できない、耐えられないと云っているのに
それでもまだ耐えられる、我慢できると本気で思っているなら
それは多分、まだ我慢できるだけの余裕があるってことで
それで我慢が足りないとか 本物の我慢じゃないなんて云われるのは
ちょっと違うんじゃないかと思ってしまうわ
無い子では泣かれぬ
泣かないで済むんなら そっちの方がよかったんじゃない
子どもがいるから 子どもがいるせいで
しなくていい苦労をしなきゃならないのなら
そのすべてを子どもになすりつけようとするくらいなら
血は水よりも濃い
だからこそややこしく
引きちぎることも 断ち切ることも出来ない
だからこそ苦しくて
呼吸するさえままならなくなるのよ
犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ
わたしがまだ赤ん坊のころ
よく熱を出しては泣き止まなかったとき
父親は「うるせえ!テレビの音が聞こえねえ!」と怒鳴っていたと
母親は愚痴が始まると 憎々し気にその話をしていた
熱を出してる子どもの心配というよりも
父親のその怒鳴りによる憎しみが
泣き止まないわたしへの恨みつらみに転じているように感じていた
母親は「お前が熱出して泣いたりするから」怒鳴られた
あの声がいまも耳に離れない どうしてくれるんだと
わたしにはどうすることも出来ないことで
いつもネチネチ責めてくる
どうせなら 子どもではなく犬でも飼えば良かったんじゃない
犬は受けた恩は忘れないっていうし
でもそんな犬だって 時には噛むことだってあると思うわよ
扱い次第ではね
形は生めども心は生まぬ
人間誰しも ひとりにひとつずつ心を持って産まれました
親が生んだのは子の躰で 心までは生んでいない
たとえ親があなたに どんなにひどい言葉であなたを否定しようとも
あなたの心は誰のものでもなく
この世界でたったひとつの あなただけのものです
あなたの心が痛がっているのは
その親とはまったく違う証拠
何故か? ひどい言葉を投げつけてるその親は
決して痛がってなどいないからです
秋風を吹かす
冷めてしまった愛の味ほど
美味しくないものもないのです
一犬影に吠ゆれば百犬声に吠ゆ
どこかで犬が吠えると、一斉にあちこちの犬が遠吠えをはじめるように
誰かが煽った不安や恐怖が あちこち伝染するってこともあると
わたし思うわ
煙も眉目よい方へならでは靡かぬ
人間見た目ばかりじゃなく、中身も大事
そんなのは建前に決まってる
中身なんて付き合ってみなけりゃ判らないんだし
大半は見た目で決まってしまうものじゃない
でも 煙も美人の方に靡くってさ
こっちに煙ってこなくて
却っていい具合かもしれないわ
漆は剥げても生地は剥げぬ
どんなに綺麗に着飾ってみたって
どんなにうまく取り繕ってみせたって
人間の根源的で根本的な本質までは
着飾れやしないし 取り繕えもしない
綺麗な漆の塗装が剥げ落ちたあとの
剥き出しになった姿こそが
本当の自分自身
色の白いは七難隠す
だったら色の黒いは難だらけですか
子を見ること親に如かず
子どものことを誰より親が知ってるって、本気でそう思ってるの?
だったら聞いてみたらいいわ
子どもの好きなもの
好きな音楽
好きな芸能人
好きな教科
どんなことに興味があって
どんなことが苦手なのか嫌いなのか
子どもがいつもいつも本当のことを云っていると思う?
子どものことを誰よりも知らないのは
親の方だということ 少しは知ってください
諦めは心の養生
小さいころから 諦めるのがクセになっていました
いくら望んでみたところで こっちを向いてくれやしないもの
いつまでも待ち望んだって仕方がないじゃない
あ〜またかと思っては しょうがないしょうがない
と どうにかこうにか心に折り合いをつけてここまで生きてきました
これは心の養生だったのでしょうか
抑えつけられてじっと我慢し続けてきた内なる子どもが
いまになって 駄々を捏ね始めているのです
これ以上 この子に諦めを覚えさせたくないのです
鼠壁を忘る壁鼠を忘れず
やったほうはすぐに忘れるけど
やられたほうは死ぬまで忘れないものなのよ
あなただっていつも云ってるじゃない
あいつが呪いをかけてるだの操ってるだのって
だけど 自分がしたことは果たして覚えているかしら?
まさか何もしてやいないなんて云わないわよね?
躰についた傷は そのうち癒えることもあるけど
心に負った傷は 意外と重症だったりもするのよ
傷が深ければ深いほど 痛ければ痛いほどに
人の恨みつらみっていうのは
とっても根っこが深いのよ
覚えておいて
箸に当たり棒に当たり
あなたが本当に文句を云いたいのは
苛立ちをぶつけたいのはわたしじゃないでしょ?
一体わたしがあなたに何をしたというの?
陰では王様の事も言う
悪口を云うなら せめて聞こえないところで云ってほしいものよね
もちろん 本音としては云われたくもないし云いたくもないけど
性格がよくて評判のあの人でさえ 一緒になって悪口云っていたわ
うまいこと本性を隠していたってわけね
云い出しこき出し笑い出し
自分でしたオナラを 臭い臭いと騒ぎ出す
なにかことが起きたときは
大抵 一番最初に騒ぎ出した人間の仕業
心頭を滅却すれば火も亦涼し
いやいや そんな滅茶苦茶な
熱いものは熱いし、ツライものはツライ
熱湯を浴びせ続けられても
丸焼けになったとしても
果たして同じことが云えるのでしょうか
だとしたらあなたには
血も涙も通っていないのじゃないでしょうか
大事は小事より起こる
事件に大きいも小さいもない
踊る大捜査線でよくすみれさんや青島が口にしてたセリフ
最初から大きな事件を犯すというのは稀な話
大きな事件というのは 言い換えれば最悪の結末とも云える
この社会には 事件と名もつかない事件が
そこら中で起きている
海賊が山賊の罪を挙げる
お前が云うなって話だよね
あいつの方がもっと悪いコトしてるじゃないかって
それでお前のやった罪がチャラになんかならないんだから
終わりよければすべて良し
だからといって、何をしてもいいってわけでもないでしょう
散々悪いことして、散々ひとを傷つけて
終わりよければもあったものじゃないわ
居候の三杯目
居候の分際で、三杯目をおかわりするなんて
図々しいにもほどがあると思うわ
遠慮も会釈もないとはまさにこのことを云うのよ
狐の嫁入り
天気がいいのに降る雨
小雨降る中、お嫁に行く狐さんとその一行
白無垢姿のちょっと俯き加減で歩く狐さん
雨のせいもあってか とっても幻想的で神秘的
相手の狐さんはどんな方?
傘を持って待っているのかも
果報は寝て待て
あせってみても仕方がないことは解っているのです
求めたからって手に入るものでもないことも
だけど、あとどれくらい寝て待っていたら
幸福とやらはやってきてくれるのでしょうか
本当にやってきてくれるんでしょうか
うちのことなど気づきもせず
素通りしてしまったりはしないでしょうか
やはり、寝て待ってばかりではダメなのでは?
こちらから動かなければ
向こうからやってくるなんて
ありえないんじゃないでしょうか
踵で頭痛を病む
わたしが心配する必要もなかったのよね
あの時わたし 昼ごはんの最中だったけど
体調が悪いって 切羽詰ってる感じだったから
もう味もなにもわからず 急いで食べて
電話したら 出ない
心配させるだけさせておいて
少し経ったら ケロッとした声で電話してきたね
わたしが勝手に心配しただけよ それだけよ
それでもさ それでも
。。。。。。これ以上云うのは止めましょうね
風の噂で 結婚したって聞きました
病気の方は もう大丈夫なのかしら
またまた 余計なことを
わたしの悪いクセね
世の中は九部が十部
世の中 思い通りになんていくわけないし
すべて計画通り なんて
デスノートでもあるまいし
完璧主義者はなにも手に出来ないとも云うし
好きな音楽を聴いて 好きな映画ドラマを観て
描きたい詩を綴って
時々は友だちとどこかへ出かけたり
それ以上 一体何を望むことがあるだろう
掌から零れ落ちていったものは多いけれど
たしかに掴んでいるものたちがここにある
それだけで それだけで
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最後までお読みいただき、ありがとうございます
一旦完結させておいて、また懲りずにことわざに物申す第6弾
ことわざや名言などをいろいろ調べてると
なかなかに興味深かったり面白いものがたくさんありました
意味合いは同じで、違う表現で言い表されていたり
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