冬がくる

春、つかんだ花が
醜くなってしまった
あのまま触れずに
歩いてくれば良かったと
思ったのが晩秋

にぎやかな所へ行って
写真を撮って
馬鹿をやって
昼の光に当たるのをやめて
栄養をとることを後回しにして
はしゃいだ
手入れもせずに連れまわしたのだから
当然のことなのに
訳がわからず
悲しいと、言っている

撮った写真は結局、捨ててしまった
静かな季節を迎えるまでに
方々で抱え集めたものを
すべて手放して冬になる
空っぽの手で冬を待つ

雪がひらり、
この手に落ちて
何も持たずに
待っていてよかったと
思えたら
つぎの春、もう花はつかまない

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