吐息

 山裾の丘陵地
 総合病院の裏出口から
 人通りすくない小道を往くと
 閑静な民家の中にログハウスも立ち並ぶ

 金網張られる路端に
 あかるんできた雨空をあおぐ朝顔が
 緩い風の懐であそんでいる
 その藍白の一輪へ
 歩みよって種を探した

 紫の花と絡まっているから
 蔓をつたって同じ色だと分かる実は
 どれも青い
 仕方なくしゃがみこんで
 砂地に落ちている大きい種を選んで拾う
 同じ色は、あるだろうか

 白い花片に見たこともない薄すぎる藍色が、
 溶けていて美しい!
 秋の午後に 限りなくつつましく在りながら
 しめった疲れのたわごとも吐きだして萎むのだろう
 白殺しの花

 もういちど、いつか
 立ち去る私のうちをゆきすぎる
 貴女のふかい息づかいに触れてみたい
 
 

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 意味深な終わり方。ふふふ。

    あと、白殺しの花 という表現が、なんだか迫力あります!

  2. @こしごえ
        様へ

     読んでいただきまして、どうもありがとうございます!m(_ _)m
     ご感想のコメント、とても嬉しいです。^ ^

     藍白の色の別名が「白殺し」なのです。それで「白殺しの花」という
    表現になっています。
     この作品を読んでくださった方々からの批評は、けっこう厳しかったです。
    どうして、その色に拘るのかが第四連だけでは少し語り足りない。第五連の
    三行は唐突で、前叙述との関連が不明。最終連とタイトルとの関連が分かり
    づらい。タイトルが浮いている……などなど。
     また他には、この最終連について平面因果律次元を突き破る手前での詩表現
    という評価もありました。
     作品は一人歩きしますから、書き手から何も言えません。

     「立ち去る私のうちをゆきすぎる
      貴女のふかい息づかいに触れてみたい」

     仄かな藍色が溶けている白の、花の美しさに魅せられて書いてみました。
    「立ち去る私」には、いつか…この現世を旅立つ私の意をこめて書きました。

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