雨上がり

雨上がりの水槽が
好きだった
誰も手を挙げなくても
ありがとう、と
目をつぶった皆に
微笑んだ先生
一番後ろで薄目の
わたしだけがほんの少し
共犯でいられた
水槽を出ていった先生は
何も無い雨上がりを
今もたった一人で
泳いでいるのだろうか
残されたわたしは
あの日から
人の形を忘れていた

投稿者

コメント

  1. 不思議な読後感でした。引き込まれていくような。

  2. 「わたし」は「微笑んだ先生」との共犯!? それとも、何か(悪いこととか?)をした手を挙げなかった犯人との共犯?

    あの日から
    人の形を忘れていた

    ここに、この詩のなんとも言えない さびしさというか、大切な悲しみというかを感じました。この詩には、そういう のっぴきならない すてきな力があると思います。^^

  3. @あまね
    あまねさん、コメントありがとうございます。水、って、人を惹き込む何かがありますよね。人の身体の何パーセントは、なんてよく聞きますが、生きていくのに大切なものである一方、綺麗なものであったり、恐れるものであったり。

  4. @こしごえ
    共犯、どっちなんだろう。
    いずれにせよ、片思い、というか、勝手に共犯関係を築いて、何かを埋めているような気がします。
    幼稚園児の頃、クリスマスツリーの靴下に先生がプレゼントを入れている現場にはいってしまって、皆には内緒だからね、と口どめされて、一緒に手伝った、なんてことがありました。共犯者だったな。

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