雨上がり
雨上がりの水槽が
好きだった
誰も手を挙げなくても
ありがとう、と
目をつぶった皆に
微笑んだ先生
一番後ろで薄目の
わたしだけがほんの少し
共犯でいられた
水槽を出ていった先生は
何も無い雨上がりを
今もたった一人で
泳いでいるのだろうか
残されたわたしは
あの日から
人の形を忘れていた
雨上がりの水槽が
好きだった
誰も手を挙げなくても
ありがとう、と
目をつぶった皆に
微笑んだ先生
一番後ろで薄目の
わたしだけがほんの少し
共犯でいられた
水槽を出ていった先生は
何も無い雨上がりを
今もたった一人で
泳いでいるのだろうか
残されたわたしは
あの日から
人の形を忘れていた
会員でない方は会員登録してください。
コメント
不思議な読後感でした。引き込まれていくような。
「わたし」は「微笑んだ先生」との共犯!? それとも、何か(悪いこととか?)をした手を挙げなかった犯人との共犯?
あの日から
人の形を忘れていた
ここに、この詩のなんとも言えない さびしさというか、大切な悲しみというかを感じました。この詩には、そういう のっぴきならない すてきな力があると思います。^^
@あまね
あまねさん、コメントありがとうございます。水、って、人を惹き込む何かがありますよね。人の身体の何パーセントは、なんてよく聞きますが、生きていくのに大切なものである一方、綺麗なものであったり、恐れるものであったり。
@こしごえ
共犯、どっちなんだろう。
いずれにせよ、片思い、というか、勝手に共犯関係を築いて、何かを埋めているような気がします。
幼稚園児の頃、クリスマスツリーの靴下に先生がプレゼントを入れている現場にはいってしまって、皆には内緒だからね、と口どめされて、一緒に手伝った、なんてことがありました。共犯者だったな。