雀色時

落ち葉などなくも暮れゆく
ひとり小路で ぼんやりと
踏切の警報音をきいていた

民家から魚の焼ける濃い匂いが、
ながれてくる
ふと覗いた庭先に
青い葉を茂らせたツワブキの花
そして灯りの点る窓には
花の色と同じ
黄色いカーテンが引かれている

遮断機が上がると
通過した二両電車の残響で風は舞い、
身を取り巻き空きっ腹へ染みたベールも
はぎ取られていった

ダウンコートに両手を突っ込み
初冬をあるく
私はいつの間にか
ふくら雀になっている

投稿者

滋賀県

コメント

  1. こんにちは。
    少し詩とは関係の無い話なのですが、
    私が愛する方の名字のイニシャルは、
    Uさんと言います。
    それしか知らない方なのです。
    何か誤解をされておられるのではないかなぁ…と思いましたので。
    勘違いであれば、ごめんなさい。

  2. こんにちわ、コメント失礼します。

    冬の匂いが、街の匂いが感じられる詩ですね。
    雀が現れるのが特にチャーミングで、とても軽やかな、
    そして言葉たちが色彩になって溢れているようだと思いました。
    素敵です。

  3. この詩の話者(もしくは、作者)の「私」には、思うところがあるのでしょうか。
    タイトルの「雀色時」という言葉が、この詩に豊かに響きます。
    そして、最終行も、雀に関係する言葉。この「ふくら雀になっている」「私」の姿が、この詩ほぼ全体の緊張感から(いい意味で)浮き出て、かわいらしく引き立ちます。^^

  4. 雀色時、ツワブキの花、などリリーさんの詩は、知らなかった言葉、花の名前などが出てきて、いつも勉強になります(^^) 夕暮れのどこか懐かしい情景が、少し寂しいようなほっこりするような心情とともに目に浮かびました。

  5. @暁月美雨
    様へ
     読んでいただきまして、どうもありがとうございます!
    ご感想のコメントをくださって、とても嬉しいデス。^^
     リリーは、こういった何ということもない日常の情景を
    書きとめる事が多いのです。「地味な作品」ですが、詩友は
    「滋味だよ」と褒めてくれたりもして。街(町)を歩けば、
    ふと……五感を刺激されてペンを取ってみたくなるのです。

  6. @こしごえ
    様へ
     こんにちは。こしごえ様のお寄せくださいました、ご感想の通りでございます。
    タイトルには、この言葉を使いたいと決めてから最終行を「ふくら雀」で結びま
    した。(*^^*)
     かわいらしいと言っていただけて、とっても嬉しいです!☆

  7. @ayami
    さまへ
     いつも読んでいただきまして大変励みになっています。丁寧に読み取って
    くださり本当に感謝しています。m(_ _)m どうもありがとうございます!
     この詩は、冬にも元気に咲いている石蕗の花の庭を覗いて、そのお家の
    食卓に上る焼き魚を思い浮かべて書きました。^^
     映し出される情景からayami さまへ、ほっこり感が伝わって嬉しく思い
    ました。
     リリーも知らない言葉は多いので、書きたいものが決まると表現したい
    イメージと合う言葉を求めて、いつも探しまくるのですう。(^^; 汗

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