追いかけたのは俺の死 世界の死

俺は輝いていた。
まわりで星が生まれようと死のうと
そんなこと知りはしなかった。

俺は愛を考えていた。
俺にも愛の経験はあったが
その客体をなくした時はいつも
そう呼ぶことを許されぬ空しい嘘に代わっていた。
そこで俺は意識を客体以前の段階へと帰した。

自らが輝くこと
それが俺にとって誰もが宇宙(むね)に持っているものとしての
愛に対する崇高な解釈だった。

誰のためではなく輝くために俺は
俺に触れようとする者を焼き尽くした。
俺を見つめようとする者の目から光を奪った。

しかし俺は知ってしまったのだ。
光年というその手にとれない時間の恐ろしさよ
あの昔に放った光が今、そう今反射したのだ。

俺は照らしていた。

そして俺は今、これまでの光を嘘に変えた。

投稿者

千葉県

コメント

  1. 一連目の、「追いかけたのは俺の死 世界の死」は、一連目であると同時に、最終連目でもあるのかな、と考えてみました。

    そして俺は今、これまでの光を嘘に変えた。

    この後に、再び、前述した一連目に戻り、この詩が完結する。
    …すみません、かなり独善的な解釈です。
    「客体」という表現が、強く印象に残りました。この表現が、本作品のひとつの鍵になっているかな、…とも。

  2. 長谷川さん、さまざま汲んでくださりありがとうございます。
    ほぼそんなイメージで書かれたものと記憶しています。
    とても若い頃、月ではなく太陽を詩にしてみようと思い立ち、当時の旧題は「エクリプス 〜太陽の声が聴こえる〜」でした。詩の終わりには、[訳:あぶくも]みたいなのも付いてたような。

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