energy flow

繰り返す雪の粒が
屋根に降って押しつぶされそうになるようで
怖くなる

白い窓の外の景色にながれゆく時間を感じ
わたしは独りため息をつく

暖かなこの暖炉の火が
わたしを氷から守ってくれるのに
憂鬱な日々が心を曇らせる

いつかやってくる貴方を待つことに
慣れるのだろうか

いつかその扉から現れる日を夢に見て
夜眠りにつくことができるだろうか

記憶の底
座りながらひっそり笑う貴方の顔を
思い出して過ごす日々を
何時の日か
いい思い出にできるのだろうか

過ぎゆく時の彼方に貴方を置いて
この家を出ていくことができるだろうか

こぼれる涙は大地に染み込み気化して消える
それもまた奇跡

明るい春がやってきて
こうして憂鬱な日々を笑う私を許すと云って

指折り数えてカレンダーをめくる

ワインがひとつふたつ無くなっていく

貴方のぬくもりも忘れていく

耐えられなくて
耐えられなくて

耐えられなくて今日も耳を塞ぐ
時計の針の音が残酷で耐えられなくて

雪はいつの間にか雨になった
外の車の通る音が聞こえてくる

沈黙の音が心で響く

※坂本龍一 「energy flow」から着想。

投稿者

栃木県

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