密室

大阪難波元町に、まぎれ込む
二人の微細な影がゆらめく
幾らかの紙幣で買われた
わずか四時間の締め切られた空間

ユニットバスの洗面台で
歯ブラシをくわえる私の顔の
筋肉は、凍りつく

別の部屋から聞こえて
廊下にまで反響する叫び声
洞窟のコウモリたちが
一斉に舞う様な酷烈な羽音!
あれも、愛欲の重責なのか?
未知なる夜の狂気へ転落してしまう
不穏な唸りは、暫く続いた

ダブルベッドに座り扉を見詰める
蝋人形と化したあなたの
無機質な瞳と、視線を交える

鏡に青ざめて映る私は
白銀の氷山を巡る航海から
ひとり降りた

投稿者

滋賀県

コメント

  1. @ジューン
    様へ
     読んでいただいて、コメントまでくださりどうもありがとうございます!
     m(_ _)m そのように感じていただけました事は、とても嬉しく思います。^^
     自分なりに懸命に推敲した原稿なのですが、この作品でリリーの詩表現
     には行き詰まりを感じてしまいました。一つの壁……を、超えるために
     焦らずじっくり腰を据えて精進していきたいと思います。

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