師匠

去ってゆく私の背中を見送る
私の胸はチリチリと傷んだ
あなたはもっと絶望した

ちょっと待って!ちょっと待って!
だから進行が早いんだってば!
一つずつ整理していくから。

ごめん。
今から、その理由を説明する。

私は「師匠」の思想が徹底的に染み込んでいます。

私が「月」と名乗り、生まれたばかりの頃、スカウトしたひとがいます。
それが「師匠」です。

ファースト・コンタクトは最低最悪。
私の百文字の詩を少し見ただけで、
「月は恐怖の大王になるつもりか?」とか全然訳が分からないたわごとを長々と、いきなり私信にぶちこんで来やがった。
仕事サボって、喫茶店でモーニングを食べながら、憤慨した。
もちろん、返信した。
「訳も意味も分からない」とバカ正直に。
(後から「悪意から始まる恋もある」って笑ってましたっけ。当時はそういうこともあるんかな?と焦点が合わないことを思ってました。
当時からおぼこくって、恋愛や色恋沙汰には徹底的にウトかった。苦笑
そういうことだったのかとようやく納得)

それから、暫く観察して、
本当に悪意がないか、嘘がないか、
隅から隅まで観察してたのでしょう。
二回目のコンタクトは、
随分優しくなっていた。

三回目のコンタクトで
すっかり信用した。

が、ちょっと目を離した隙に、
私はすっかり別の人に夢中になり、
その人との恋の悩みを
よりにもよって、
多分、私に恋して(いや、違う。愛して、だ)
私を愛している「師匠」に打ち明けまくり、
師匠が話をちゃんとしてくれるので、
私が恋をしてた人からこっぴどくフラれるまで、師匠は受難は続くのです。
(その時のことを思い出してか、「俺はドSだが、ドMでもある変態だ」と笑ってました)

真夜中に師匠の車に乗って、ドライブした時は、随分機嫌が良かった。
お気に入りの曲に合わせて、歌う歌う。
ファーストデートでカラオケに真っ先に行き、
自分の歌上手をさりげなく(いや、ド直球か?よくわかんない。男のひとって自慢したいの?)アピールしたひとだ。
そういえば、初めて会った時は、やけに嬉しそうで、「何か思ってたより馴れ馴れしくくっついてくるなぁ」と思いました(やっぱり鈍いし、ウトい。もはやバカの領域?)

だが、このお師匠さんも、
誰かさんみたいに我慢できずに
自分の腕の中、
すっかり信頼しきって眠る若紫を早摘みしてしまう。

訳が解んなかった。
自分は、マダムに仕込まれたから、夜のテクは自信があるよとアピールしても、
私は「ふーん」でスルーする。
何回トライしても(実際には3回くらいか)、
「ふーん」とスルー。
全く興味がない上に、そもそも男としてみられてないと気付き、
半ば「やけくそ」の行為。
キスは頑なにせず、
黙々と欲望のはけ口として扱う。
「男の欲望とはこんなもんだ」と教えてくれていると理解した。

夜明け。
タブルベッドで一緒に裸で眠っていて、
ふと目を覚ますと、
満足そうに科学雑誌を枕元のライトで読み耽っていた師匠。
満ち足りた空気が漂っていた。
会話はない。

お嫁さん候補だった。
さりげなく打診されていた。
「律と一緒にいると楽しいだろうな」
「?」
そんな当たり前のこと、何故わざわざ言うのか、さっぱり訳が解んない。
(もー、ヤダ。もはや国宝級に鈍いし、ウトい)

で、この師匠、最終試験を密かにトライする。問題は、
「核ミサイルの雨が地球上に降り注ぐ。律ならどうする?」
「???どーするも何も…みんな死ぬよ?」
「律は俺が死んでもいいのか?」

Ans

「うん。いいよ。みんな死ぬなら、一緒に死ねるならいいよ。」

不満げな気配。怒ってる?

今のベストアンサーは違う。
今なら、
「どうにかしてミサイルを止めて、みんなで生きよう。最悪、自分の犠牲が必要ならばいいよ。あなたが生きててくれた方が良い」だ。

正解は分からない。
ずっと謎のままなのか、いつか訊ねるのかも分からない。

あなたとしては、
私が師匠のお嫁さんにならなくて、とてもラッキー。

私はあなたのお嫁さんだから。笑

全く、運命も宿命もよく出来ている。

いつか、あなたに師匠を紹介したいです。

おまけ。

実は一番最初に歌詞を書いてくれと発注したのが、お師匠さん。
彼に送る歌詞を、本格的に暖め中です。

PS:くれぐれも嫉妬しないで下さいね。もう終わったことなんで。
師匠は赤ちゃんができて、結婚してますよ。笑

投稿者

埼玉県

コメント

  1. お師匠さんは、一つだけ良いことを言った。
    「弟子ができないのは、師匠の教え方が悪いからじゃ。」ですって。

コメントするためには、 ログイン してください。