小さな海
身体の隣には
太平洋があった
太平洋は凪いでいた
名の無い
小さな海が好きだった
その海は机の
引き出しの中にあった
机は遠く故郷に
置いてきてしまった
それなのに
故郷はもう
何処にもなかった
身体の中にもなかった
気がつけば
身体もなかった
身体の隣には
太平洋があった
太平洋は凪いでいた
名の無い
小さな海が好きだった
その海は机の
引き出しの中にあった
机は遠く故郷に
置いてきてしまった
それなのに
故郷はもう
何処にもなかった
身体の中にもなかった
気がつけば
身体もなかった
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コメント
たもつさんの詩から受ける印象はマグリットの絵から受ける印象と似ています。超自然的な不思議さと明るさがあります。同時にデ・キリコの絵から受ける静けさと寂しさがあります。
そうした〈存在である〉わたし、が、その消失のままに、〈存在である〉こと、によって、つまり世界は、わたし抜きで、世界であり、しかもその了解が、なによりも、わたしのこころ、を、愛している、のですね。この不思議。
@たかぼ
明けましておめでとうございます。今年のもよろしくお願いします。
たかぼさん、コメントありがとうございます。
マグリットとキリコ、両方シュールくらいにしか思っていませんでしたが、確かにイメージがまったく違いますね。マグリットは学生の頃、美術館で特別展示しているのを見に行って、パンフレットまで買うくらいハマりました。
キリコの寂しい感じも素敵ですね。
@坂本達雄
明けましておめでとうございます。
今年のもよろしくお願いします。
坂本達雄さん、コメントありがとうございます。
自分という存在の不確かさに対する恐怖、って子供のころからあって、あまり友達とそんな話をする議会もなかったけれど、今思うと、みんなそんな思いを通過していったんだな、と感じます。そこでとどまってしまっている私は、なんか、まだまだだな、なんて。