旅往く

朝まだき
立ち込める霧に
溶け込んで

あしたわたしが
旅往くとき
残るあなたは
何を思う

不在の空白を
埋めるのは
琥珀の安堵か
薄墨の寂寥か

窓の外一面に
紅葉の木々
木枯らしは
カサカサと
葉をゆらし

残るあなたを一瞥し
わたしは声なき声に
誘われて
已むに已まれず
往く旅路

あしたわたしが
旅往くとき
残るあなたは
何を思う

投稿者

愛知県

コメント

  1. 朝まだき という言葉を初めて知りました。

    ひとり旅往く姿にのっぴきならない意志を感じますが、それが切なく響きます。でも、それは、心地好い切なさです。^^

  2. @こしごえ さん、コメントありがとうございます。

    朝まだきはどこで目にしたか、記憶が定かではありませんが、古文の授業が怪しい気がしています。反対の意味を持つ表現があれば覚えておきたいのですが、おんぼろAIに聞いても「黄昏」と「夕暮れ」をあげてくれただけでした。

    この旅人の已むに已まれぬ思いが果たされたとき、思うのはなんだろうかと考えたりしています。

  3. 何となくタナトスを呼び起こされる読後感でした。寂寥がじんわり効いてきます。

  4. @サーラ さん、コメントありがとうございます。
    色んな読み方があると思いますので、涙する心情、想像してくださってありがとうございます。

  5. @あまね さん、コメントありがとうございます。
    書いているときに、連想のどこかで不帰の旅を想起していましたが、そこまで読んでいただけてうれしいです。

コメントするためには、 ログイン してください。