黒板の花

あなたが夕日の
真似をするものだから
わたしはすっかり
あなたを夕日だと
思ってしまった
ほんの少し
音を出してみる
それもまた
言葉だった

誰かが黒板に描いた
綺麗な花の絵を
消したことがある
散らずに消えていく
その花の名前を
わたしは知らなくて
今もずっと
知らないまま

カナブンとおしゃべりする
あなたにも見せてあげた
沈んでいく
あれは本当に
あなただったのだろうか
そう思うと名前すらもう
覚えていない気がした

投稿者

コメント

  1. 学校に行ってた頃、毎回の授業の後に「黒板を消す係」?みたいのがありました。たしかそれは、毎日教室の席順に交代で行われていたような気がします。
    遠い記憶です。

  2. 卒業式と解釈すると、花を消す側の立場を経験したことがあるのですが、なかなかの重労働です。
    書くのもなかなか力の入れどころが違って大変です。

    最後の連が美しくて感嘆しております。

  3. 沈んでゆく夕日、それはそこにあったものが消えてゆく象徴。消された黒板の花も。忘れられる人の名前もまた消えてゆく。記憶の水平線から夕日のように沈んでゆく。

  4. 遠い追憶のようでもありついさっきの出来事のようでもあり。そんな時空の絡み合いを感じました。

  5. うわぁ、すげ〜良いですね
    これは、本にできますね

    いつもと同じ雰囲気の
    ノスタルジックなファンタジーの
    優しさの寂しさの

    すっかり夕日だと思ったのかぁ
    凄いっす
    のってますね

  6. @サーラ
    サーラさん、コメントありがとうございます。生前、認知症だった父に、あんた誰だ、と言われたことがあります。最後の最後、やっと兄の名前からで呼んでくれました。今となってはよい思い出です。忘れることも忘れられることも、キラキラと輝く思い出になることもあるのですよ。

  7. @こしごえ
    こしごえさん、コメントありがとうございます。私の通っていた学校では日直さんの仕事でしたね。黒板消しのクリーナーなどまだなくて、ベランダでパンパンと二つ合わせて叩いていた時代です。

  8. @たちばなまこと
    たちばなまことさん、コメントありがとうございます。卒業式の黒板アートは消すのも大変ですよね。もったいない気もしますが、あの一時の儚さが良い思い出ですね。

  9. @たかぼ
    たかぼさん、記憶の水平線か、、、今考えれば当たり前なのですが、地平線や水平線って常に目の高さにあるのですね。つまり、人によって見えている水平線も違い。同じ物事でも、水平線に沈んでいく記憶は少しずつ違うのかもしれないですね。

  10. @あまね
    あまねさん、コメントありがとうございます。記憶や思い出になってしまえば、それらは同じ時系列に並んでしまうのかもしれません。

  11. @那津na2
    那津na2さん、コメントありがとうございます。夕日、ってノスタルジーをくすぐられますね。一日の終わりの儚さ、というより、あの一瞬の儚さが人の心を惹きつけるのかもしれませんね。イメージは絵本でした。

  12. @たけだたもつ
    たけださん
    いやぁ〜絵本ですよね
    絵本です!

    素敵

  13. 一連目から吸い込まれるように読みました。終わり方も良いですね。

  14. @那津na2
    そういえば、最近絵本読んでないですね。今度、買ってみようかな。

  15. @あぶくも
    あぶくもさん、コメントありがとうございます。吸い込まれる、それは夕日の力かなあ。夕焼けを見ていると、自分が何かの物語の主人公になった気がします。

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