冬のばら
「おはよう!」
小学校の正門前で挨拶する先生
靴音が重なり合い波の様な
さざめきを立てる中、彼の若い声は
翼になるヒレで潮風を切って飛ぶ
冬のトビウオ
正門近くの通学路沿いで
民家の玄関先に置かれる
バラの鉢植え
いつまでたっても開かないのね
と 通勤途中に思っていた
昨日までの蕾は、花首を下に向けている
幾重にも巻かれた花びらが
うす茶色くなったなんて
私の耳に子供達のお喋りは
次第に小さくなってとらえきれず
どこか 物憂く
足取りにリズムの感じられないまま
駅へ向かう
ああ、それでも
澄み渡る冬晴れの空なのに
コメント
冬の澄み切った空気をこの詩から感じます。
通勤途中の すてきな風光ですね。
冬晴れの空の下でも晴れない心があるのかと思ったりして。若さを失ったのか、咲く季節を間違えたのか、それでも寒風の中で凛々しく咲く冬のばらがあったなら、それは素敵なことだと思いました。
@こしごえ
様へ
いつもお読みいただいてコメントをお寄せくださり、とても励みになっています。
本当に、どうもありがとうございます!
この作品では第一連目を何度も書き直しました。情景の空気感を読みとってもらえ
まして嬉しく思いました。
@北野つづみ
様へ
いつもお読みくださいまして、どうもありがとうございます!
ご感想のお言葉を戴きまして、あらためて「冬のばら」とタイトルをつけました作品に、向き合ってみました。
私が、咲いてくれるものとばかり思っていた蕾でしたが……そうですね、そうなのかも
しれません!バラを擬人化して見てみると、またちがったイメージが膨らんで描けそうな
気もいたしました。^^ 私の感性の稚い一面に気付くことが出来ました。笑ヾ
最近のバラは冬にも頑張って咲こうとしてますよね。
溌剌とした朝の雰囲気と作者の物憂い心象風景との対比が
なんとも切ないです。
「冬のトビウオ」いいな。。。
@nonya
様へ
いつもどうもありがとうございます!ご感想のお言葉をお寄せいただきまして
嬉しいです。(*^^*)
「冬のトビウオ」を気に入ってもらえて良かったです。この言葉を使いたいと
思った時、ちゃんとネットで検索しました。冬に旬を迎えるトビウオは、ハマ
トビウオです。日本では房総半島以南の大平洋側を回遊していて、関東では「角トビ」
や「春トビ」とも呼ばれているそうです。