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冬の窓辺に立つ
枯木立の間から
キラキラ笑いながら
転がり出てくる子供達
寒そうな雲間を
名前も知らない鳥が
矢印になって渡っていく
冬の窓辺に立つ
だぶだぶの
オーバーコートに着られた
少し猫背の男の子
傍らの母親に
道の端っこを歩くと犬のウンチを踏むから
道の真ん中を歩きなさいと叱られながら
嫌々歩いている
大人になっても彼は道の端っこを歩き続けた
冬の窓辺から
窓の外の
今日の冬を眺める
冬の窓辺から
自分の内の
遠い昨日の冬を眺める
明日は
明日は窓辺からは見えない
というか
明日を眺めるために作られた窓なんて
ひとつもないはずだ
コメント
キラキラ笑いながら
転がり出てくる子供達
ここが特に好きです。
冬の重たい空気感が、この詩から漂っていて、それがうまく表現されていると感じます。
明日を眺めるために作られた窓なんて
ひとつもないはずだ
つまり、窓は、今を眺めるものなんですかね。
窓も、大事な存在ですね。んー。^^
nonyaさんの詩には必ずと言っていいほど哀しみがあって、そこに惹かれています。
あたたかい視線の神経網、飄々とした素振りの膜の向こう、なんかに。
私も、大人になってからも、ずっと道の端っこを歩いています。齢のせいか、窓から見える風景は、過去のものが多くなりました。それでも、街を歩き、窓の外を眺めています。
胸にじーんと沁みますね。もう遠い記憶なのにすごく鮮明に覚えている情景があって、そのときの気持ちとか、寒さとか、まぶしさとかが強烈に、今の自分に訴えかけてくるようでした。