水底
交番の蓋を開けると
砂漠が広がっていた
砂漠には机が置いてあった
引き出しはすべて
取り外されていて
古い思い出は無く
新しい思い出も
もうしまえなかった
雨上がりの
虹がかかっていた
虹を育てるのは
若い警官の役目だった
蓋を閉じると
月明かりに照らされた
交番だけが残った
水底のように
深く澄んだ夜
迷い込んだ小さな魚は
おそらく何かの
花びらだった
交番の蓋を開けると
砂漠が広がっていた
砂漠には机が置いてあった
引き出しはすべて
取り外されていて
古い思い出は無く
新しい思い出も
もうしまえなかった
雨上がりの
虹がかかっていた
虹を育てるのは
若い警官の役目だった
蓋を閉じると
月明かりに照らされた
交番だけが残った
水底のように
深く澄んだ夜
迷い込んだ小さな魚は
おそらく何かの
花びらだった
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コメント
虹を育てる係になりたいですが
若くないから無理かな?(笑)
冬から春に向かう季節の匂いがしました。
上手い人は好きとか嫌いとかを超えてるよなあと、たけださんの詩を読むと感じます。書くことが日常になってる。そのことが作品に現れていると感じます。日本中あらゆるところにある交番。そしてそこにいるお巡りさん。その日常風景の中に魔法が潜んで、非日常へ誘う。魚から花びらはエロスの比喩なのか? 怪しい感じもするけれどどこか品があり、ほっとするような内容です。
交番のトビラを開けると、砂漠が広がっている。期待を裏切らない世界観を垣間見せる。交番のトビラを開けると、洞窟とかだと、逮捕を連想させる。しかし、この作品では、砂漠とした。これは、交番員の世界観にも似ていると思う。例えば、絶えることない正義は、いつになっても、水が貰えず、私のオフィスが今日も砂漠のように感じる。発想がとても面白いです。ありがとうございます。もう一つ、魚を述べるなら、水源を明らかにした方が論理的だとも思った。ハナビラと魚の形は、おそらく、泳いでいるのかなと。
やはりひとつの絵の様な、そんな佇まいが素敵です。
@nonya
nonyaさん、コメントありがとうございます。日々刻々と季節は春へと進行していますね。我々は虹を育てる人を見守る係になりましょうか(笑)
@荒川濁流
荒川濁流さん、コメントありがとうございます。私、絵が描けないんです。何を描いてよいかわからないし、立体的なものを平面に落とし込む、という作業がどうしたらできるのかが謎で、犬を描けば足4本並ぶし、人の顔は鼻が描けないからエジプトの顔だけ横顔になってしまう。
絵が好きな人って、いつも何かしら描いているイメージ。ノートや教科書の隅っことか。多分、自分の詩って、そんな感じ。何か書いてる。素敵なフレーズとか、思想とかではなく。コップがある、そんな普通の一文をノートに書いたり。すいません、長く自分語りをしてしまった。
@おぎわらとわ
おぎわらとわさん、コメントありがとうございます。
交番、という言葉がお気に入りで数年に一度は書きたくなってしまいます。
水源か、、、何のイメージだろう。海か、表流水か、地下水か。そこまで考えてはいませんでしたが、場所的には深い海底なのだけれど、水は濁りのない、深い地下水脈、なか。
@たちばなまこと
たちばなまことさん、コメントありがとうございます。絵が描けたらどんなに素敵な人生なんだろう、と思うときがあります。