ある日の午後
心地の良い陽光が閉じた瞼の内側を柘榴の実のような色に染め上げて日焼けするほどでもないが気をつけないとこういう紫外線が一番厄介なのだと言い聞かせる言葉が脳裏を素通りしてゆくほどに身を任せていたい暖かな熱が肌に伝わってくる
不意に額の上を風がそよいで通り抜けた
これまで丁度五粁くらいを歩くより速く走るより遅い進度で駆けてきた結果しかしながらそれでも幾分か頭皮から顔全体へと滲んでいる汗が気化熱によって空中に放出されていくのをまだ春には少し遠いこの気候の中で暖かさと頭髪の生え際のみの爽快さと少しの汗冷えが絶妙に均衡を保っている
被っていた帽子を頭から浮かせて浅く乗せているだけの状態で低い茂みに囲われた畳三畳もない芝生の上に文字通り大の字になりその後印度の瑜伽で言うところのSavasanaの要領で正に屍のように空を見上げて眩しいほどの青を閉じた瞼に受け入れていた
そういう事柄が宇宙や人生に展開されるような何か含羞のある意味ありげで思わせぶりで読む人が捉えようによっては警句や示唆に富むと受け取ったり想像逞しく自分の何かを投影してくれそうなそんな詩に仕上げてみようかと思ってできそうもないなと思ってやめた
ただそれだけのことがただそれだけのこととして詩になってもらいたかったそんな日があってもいいじゃないかと吹聴するように桜耳したいつもの猫氏が若干の警戒を解いてのそっと足音も立てずに僕の側を通り過ぎた
コメント
爽快感がある詩だと感じます。最終2連の全てを流れに任せて受け入れているような心情と猫氏の言い回しの妙が良きです。
シャバーサナでじっとしてるのが地味に辛いです。死体になる覚悟が足りないようです。
こういう詩を書けるだけの
あぶくもさんの筆力の高さと確かさを感じさせる詩だなあ、と感じます。
心地好い ある日の午後だと、読んでいる私に感じさせる力や豊かさなどが、この詩にはある。
私もだけど、猫氏の描写にも味わいがあって好きです♪☆^^
@たちばなまこと
さん、ありがとうございます。
あまりに気持ちいいので妙なこと考えずにそのままがいいよと猫氏が語っておりました。
シャバはヨガマットの上ではなく直接地面と接するグラウンディングが気持ちいいですよー。
@こしごえ
さん、ありがとうございます。
表現は一連一文みたいなわざと読みづらいこねくり回したものにしてみました。国語の先生に駄文として怒られそうなやつですね。とても素朴な私の週末の日常ですね。猫氏、気に入ってもらえて嬉しいです。