
湖照体
あなたが確かめたものは、するどい内面の歪みであり、その粉引きの語らせるものとは、この湖水のあわれであるもの。知られることの無い過去の新しい真情の水分であなたの舟が生きた小鹿を救いたいとの思いで、静けさの朝にロクザーヌの手で気配を消して行く。話しかけるなまずの声には信頼する密林の影が重なる。ちゃぷちゃぷと、あなたは手を濡らしてわたしの質問にあしらわれた衣服の隙間からその乳房を見せる。こうして現在時のありあまるわたしからの息が舟のはたから水面へと。狭心症の薬を口に入れて眼ではあなたのひらかれたその奥を見ようとする。しずまる湖水の周囲に部隊が待機しているとの知らせをスイレンの華から教えられて。やわらかな悲しみの音がするので、息をふたたび等身大のオニバスのうえに飾ろうとしている。ただこのままにして、この美水する混乱の日々におそらくは、わたしの聖なる乾きのオルガンが鳴り響く時。やがての手でやさしくつつんでください、かろうじて舟は湖照するイキのはてに死の快楽へと。
コメント
世界感が凄く素敵ですね。昔海外の小説ばかり好んでよく読んでいましたが、それを見返したくなりました。読んでいて面白く続きが気になる作品ですね。
@ザイチ
さんへ、ありがとうございます。小説の量はあまりに少ないので、どのあたりからしみ込んできたのかは、不明ですが、無意識に傾く方法で、言葉を愛することと、突き放すことを、できれば同時にしたいものだと思っています。