『JESUS』

打ち上げた洗浄骨肉種
直下型の極彩色素に
ふくらむ・・・ 太平洋沿岸線上に延びた 黒くどぶっぽい足

……貸し切りスプーンに鬱血したまぶたを何枚も乗っけた宣告夜……あくびの一つでもすると
いままで散々ひび割れていたものの中から・・・生まれました!!
手首脚首つきのホメオスターシス・メサイアが………巧みに私の抜糸を紡ぎたす 鋭利な舌を持っています……ストイックな反転模様を順応にゴールネットに投げ入れて行き 背後の影を総仕上げ……縫って縫って縫い上げました……………!!

離れていく人並みの 目をつぶった人並みの
どこもかしこも 冷えた肉でいっぱいだ

悪魔の横たわる音を聞いた
ハイエナは耳を破られて岩に伏していた
死灰は山と積もった 罵声の風に俺は激情を仰いだ

人々はぐたりと倒れて行った・・・

鳥たちは昼寝をしたまま昏睡状態に陥った
煌煌と降り頻る金が 俺の眼に別れを告げていた
山は無垢だった 空は夜だった 波は浅く息を繰り返し 太陽は月のわき腹を往来していた

腕には手錠の 頭にはアスピリンの 首になわの 足元には汚濁した血液が何リットルか溜まり込み 胸元には黄色い食肉植物の触手の延びる・・・・記憶の年間増設ノートにはカミソリの痕が幾重にも引っかかれた 口内から見つかるのは10000個のピル・・・・隠しておいた瞳の数 

俺は痛んでいる 脳は焼けている 毛穴はすべて塞がった 口は焦がれている 眼差しは灰の煙のよう 光はこぼれ出す 哀しみは浸水に垂れ下がり 欲望はいぶされている 燈の光にまぎれて あの横殴りの風に吹かれているんだ!俺の翼は泥酔をいっぱい含んだ重量だ 黒い思惟が俺の肩をよぎる 俺は突っぱねる 糞つまらぬ!胃が冴えぬ!燦然の光を投げ出した夜景のごとく寝転がるんだ!!哀れな吐露め・・・ 隠退など怨めしい

馬鹿野郎・・・ 捨てられぬものが 俺を呼び止めた
ふりかえらずに 立ち向かって
何にも云わずに黙諾すれば あの気分がよみがえる
自らを階段にして 踏んで踏んで踏みあげて
叫び 叫ぶんだ くりかえす たちのぼる のぼりつめた!
あの名前を呼んでくれ!!幻覚が繰り返される あの名前を呼んでくれ!!

おれは無欠だ
あの末路に交じって逃げるんだ
真実を引き止めろ
道なき道に食い下がれ
随意筋につばを吐き 動き出す 
座礁したタンカーのごとく無力な俺の背中に 綱がかかった愛撫が投げられた!
汚濁片に押し流されながら 口元に打ち上げる残飯のような侘しさよ
あそこに全部棄てちまえ 砕けた突端 浅のない断崖だ!!

俺はとっくに知っている
未来も過去も現在におけるすべての危険地帯を知り尽くした
ここにはハエでもたからせて 動物並の羞恥を植え付けよう
では何が知りたいのかと知りたがる
何者にも動かせぬ真実を知っているのか?

皆口をそろえて言う
信じるものは救われる・・・信じるものは救われる!!
信じよ!!救われよ!!異教徒たちの狂色素 耳をはがした軍隊だ
激しく脈打つ舌でもって何べんでも問いかける共感!!

だがその前に 誰かにぺッと掛けられた唾をぬぐってやらねば
その歯列にこびり付く 汚いガムでも取ってやらねば
眉の上に降りつもる フケと埃をはらってやらねば
爪の間に挟まった 黒いあかだの洗ってやらねば
頭頂部にわき立った シラミの数でも数えてやらねば
足元に這い上がる虫けらを指でプツリと潰したら 緑色の体液が飛び散るだろう
その清き衣に!俺たちがすがり付くはずの純白に!!
Jesus christ!! 俺の神!!俺の神よ!!!!

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粗雑な言葉の羅列で大変恐れ入ります。
この詩は、長編小説『善悪の果実』に登場するスネークというキャラクターの視点で書いたものです。
スネークは、あらゆるトラウマの集大成のような存在で、深い傷を抱えながらも生き抜いているキャラクターです。
ものがたりでは痛みを忘れずに生きること、そして他者の痛みを理解することが、真の再生と希望に繋がるというメッセージを伝えています。

粗暴なキャラですが、最終的には光の方向に向かう終焉を予定しています。
楽しみにしてくれたらうれしく思います。

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投稿者

静岡県

コメント

  1. 久しぶりにスネークを読んで、言葉たちに撃たれたように感じました。
    すごい表現力です。イメージが暴れ狂っている。

  2. @あまね
    あまねさんコメントありがとうございます。覚えててくださってめちゃくちゃ嬉しいです!
    スネークは旧ぽえ会時代から、お世話になっていましたが、久しぶりといって頂けるなんて嬉し過ぎて感激しています。
    おっしゃるように暴れ狂ってるので、作者としては受け入れてもらえるか心配なキャラでもあります。
    少しでも陽の目を浴びさせてあげれるようにしていけたらな、なんて思っており、お声がけ本当にありがたかったです。このような作品を置いていただけるぽえ会にも感謝です。

  3. あれ、ザイチさんってこんなテイストの詩を書かれる方だっけ?
    と思いつつ、最後で、あ、スネイクさんだったと気づきました。
    とてもとてもカッコイイです。本気で切りまくっていますね。

  4. @nonya
    nonyaさん、コメントありがとうございます。まさかこんなキャラを覚えててくださっている方がいらっしゃるなんて、本当に感激です。おっしゃるように作品によって書いているものがまったく違いますので、驚かれることもあるかと思います。スネークは自分の中でも荒れに荒れたキャラなので、ものがたりで少しでも希望の行く末や光を浴びせられたらなんてずっと考えており、コツコツものがたりも書いていこうと思っております。温かいお声がけいただき、とてもうれしくありがたかったです。

  5. 最終の二連で、救われたように思いました。スネークの物語がどのようなものか私は知りませんので、想像してみるしかありませんが。動画詩のイメージがあったので、読んだ時、びっくりしました。

  6. @長谷川 忍
    長谷川さん、コメントありがとうございます。驚かせてしまい大変恐れ入ります。
    動画詩のイメージを持たれていた中で、このような荒れに荒れた詩を読んだら、びっくりされたかもしれませんね。
    それでも想像しながら読んでくださったこと、本当にありがたく思います。
    そして最終の二連で救いを感じていただけたと伺い、書いてよかったと心から思いました。
    スネークが穢れを拭ったのは、彼が信じていた人たち。
    彼らに裏切られたスネークは、また彼らを信じられるように清き衣をまとってほしいと願う――けれど、彼ら自身が自ら穢れを拭おうとしなければ、やがてその衣も汚れてしまう。
    「俺の神よ!」という叫びは、信じることへの絶望でありながら、「また信じさせてくれ」という切実な救いを求める願望の表れであったのかもしれません。
    ものがたりでは、スネークとその人との関係、絶叫の果ての終息まで描いていくつもりです。長編なので時間はかかるかもしれませんが、楽しみにしていただけたらうれしいです。

  7. とにかく、スピード感を感じました…!
    小説のキャラクターの視点で、新たに綴られているということなんですね。勝手に勘違いしていて、小説の中に挿しこまれている詩なのかなって思ってました。。
    読んでいくと、日本語だとなんだか追いつかないような気がして、もしかしたら全部英語だと、かっこよくそのスピード感についていけるのかもとか色々想像してみました(英語まったくできないんですけれどね、、笑)。

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