緊張とか弛緩とか
ギリギリの均衡で張り詰めている内部から膨れ上がるように湧き出した勢いが噴水のように突如隆起し犀利に膜を突き破るのではなくやおら盛り上げて揺らしその揺れが表面の緊張を波打たせそのまま一気に外側に向けて溢れ出す後は決壊し滴るままになすがままとなる様もある種のカタルシスであるがその水流の膨らみが突如止まるとあたかも死が訪れたかのような弛緩と静寂がやってくるところでまた鏡面となり物言わずその表面には外の世界を映して照らし厳かにうなずき合う状態に機を得て墨汁を含んだ筆の先をその静寂に沿わせると静脈に刺した注射針がシリンダーの中に鮮やかな血液を吸い上げるごとくモノクロームの濁りは比重の理によって沈澱していく様子をなぞらえてあなたの緊張と弛緩を意のままに操って手に入れたつもりでいたのに私はいつまで経ってもあなたの無知と思考の至らなさに振り回されてそれ故の鈍さや強さに嫉妬しまた刺激され
コメント
すごいイメージの奔流にやられました。結びが結びの形になっていないのも好きです。
@あまね
さん、ありがとうございます。
奔流系のやつ、時々無性に書きたくなって書いてしまいます。終わり方も気に入ってもらえて嬉しいです。
この区切りの無さが緊張し続けているようであり、弛緩し続けているようでありました。
放出後のひとときの死を思ったりも。
筆とシリンダーのくだりが特に好きです。
その水流の膨らみが突如止まるとあたかも死が訪れたかのような弛緩と静寂がやってくるところでまた鏡面となり物言わずその表面には外の世界を映して照らし厳かにうなずき合う状態に
ここ、いいですね。タイトルとも上手く被っています。
長い散文詩の一部分を切り取ったような雰囲気もあります。…実は、膨大な散文詩だったりして。
@たちばなまこと
さん、ありがとうございます。
筆とシリンダー、気に入ってもらえて嬉しいです。
放出後のひとときの死(既に詩!)
それで詩三編(ごはん三杯?)イケそうですね。
@長谷川 忍
さん、ありがとうございます。
表面張力というあの何とも言えない現象について書こうとして、朝井リョウさんの『正欲』みたいなちょっと危ういアプローチみたいな感じになりました。そんな動画を撮って流すYouTubeチャンネルやってみようかなー(^^)
あと、誰も読まないような膨大な散文詩に拡大してみようかしら。