録験体

録験体

スクリュウが体内でカシミアの出来損ないである夜更け。舟のへさきが竹かごをぶらさげて、コンドームの中の意識である〈君〉をブラフマンの恋人であるように語る。生垣に意識が吸い込まれていけば、海水が庭園の風景にオドントの味わいを醸し出すのである。過去の遺物にひかれて歩く時には、高射砲が瓦礫の中から人間を発射できるサーカスのテントの破れから、打ち出されてこの中世の音楽の典雅であれば、そのオルガンもまた海水に親しむばかりであろう。 馴染みの店での会話体から蜃気楼の宇宙服で惜しまれている〈くだもの〉の、芯のあたりに霧が深くて道に迷うこの村はずれ。スクリュウの回転が速くなればその分わたしはあなたをコンビニの外で抱きしめる。霧のように肉体のようにマンガンのように。とりみだした髪の間から希ガスがもれでている、喫水線がなんども乳首のあたりにゆれる。おおまかな地図で愛情の場所を示しつつも、そこへ行く為には排水管のこのあたりから肋膜炎の痛みを我慢していなければならない。肉体を離し、汗をぬぐい、水を飲み、ふとんにもどる時、スクリュウが脳内で回転し始めている。〈君〉の腰のあたりに冷たい舟のすすみゆくあたり、この霧がうっすらとすべてにあいまいとなり、できるかぎりの音量でこの体内にベルリオーズが発音する。ないないづくしのカミソリで天の気配を沈黙であると言い散らす、この永遠の一部としてのペニスの舟のへさきで水を切る。

投稿者

岡山県

コメント

  1. どこもかっこいいのですけれど
    “ オルガンもまた海水に親しむ ”
    癖になります。

  2. 常に何か新しい息吹きのようなものをポロックのようにジョイスのように感じます

  3. @たちばなまこと
    さんへ、世界はとてもあいまいなまま、蝋燭の光で、見るばかりです、光を手に持つ、指の間から、世界はとても生きています。

  4. @たかぼ
    さんへ、新鮮であるものが、わたしたちに、けっして繰り返さないもの、指にふれるもの、そのせんさいな、世界の形成と、つながるもの、詩であらわれてくるもの、ポロックもジョイスも、指で触れる。

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