千早ふる

灰街に夕立
虚な二人は
濡れた手や
歯痒い台詞
待ち侘びる

点滅する靄の中
現実感だけ澱み
瑣末な事にせよ
触れ合うよりも
心音のみを聴き
同調するべきか
答えは知り得ず

涙は高架下
暗闇に放つ
情欲は泡沫
震える空が
互いの裏側

野良犬の遠吠か
彼方の都市から
さめざめと響く
悲しみの息切れ
古傷を抉る様な
雑な音色が痛い
命尽きるほどに

それでも疼く身
自ずと抵抗せず
ときには美しく
ときには狂しく
朽ち果て満ちる
まさか愛などと
囁くだろうとは

投稿者

大阪府

コメント

  1. こんにちは。
    五七五七七。綺麗に揃えられた文字列が目を惹きます。
    内容も、美しいです。

    ありがとうございます。

  2. すごい良かったです。ギミックを仕込みつつイメージがそれに邪魔されないのがすごい。職人芸ですな。

  3. 百人一首には美しい詩が沢山収められていますね。昔は意味も分からず全て暗記して中学生の大会で準優勝しました。今は百個言えないけどこの詩のように美しいものは諳んじることができます。そこに相応しい言葉を加えていき新たな詩を創造するのはなかなかに難しい作業だと思います。

  4. 硬質でいて、柔軟な詩性を感じます。そこには詩の豊かさがある。

  5. とてもとても美しいです。
    (まじ鬼才)

  6. なるほど縦読みでも五七五七七なのか。
    つーことは泡沫はうたかたと読むのですな。トノモト氏の詩はいつも建築物のようだ。

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