
とても南
しばらくぶりに南へと行く
南極の寒さにぶら下がっていると
アホウドリに挨拶された
とたんにわたしは南そのものである
つまり方向としての存在となったのである
この経験はさらに方向を示すだけであるから
わたしは南へ行く
けれども地上での南は地球を離れてしまい
南が地上の存在でしかないことを示しているから
〈あっち〉へとわたしは進むのである
わたしは〈あっち〉である
その進行方向がわたし自身である
つきすすむ、ひたすらつきすすむ
その結果としてのわたしが〈到達した〉と言うのであれば
それは〈到達〉と言う方向が存在したのである
そしてそれはもう微動だにしない
そしてそれはもうわたしではない
不動である
こいつはもう変化ではないのである
変化ではないものはすでに死である
そしてこの死によって世界が不死である
見ない死の存在のこの状況が語ることは無い
死のこの不死の場所で語られることは無い
ただこれが何者の場所でもないのであれば
新しいわたしが南へと行く
ひたすらの方向としてわたしが行くのである。
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