骨粉

空に灰が降り積もってゆく。

透明な青を閉ざし
憂鬱と呼ぶには白すぎる山梔子の死化粧よ。
そうやって黙ったまま強く薫る秘密の甘さを
蜘蛛の巣みたいに絡み付かせ
左の中指だけで
僅かに藻掻くしぐさが
生々しく、痛い。

折れてしまうのだろう

炭酸ソーダのプルトップを
開け損ねてしまった指は
きれいな爪が
不器用に
長すぎたから。

『これは私。
 私の溶けたほね。
 私の融けたにく。
 ひかりの繭
 子宮を包んで沈む。
 生まれなかった私
 刻まれた名を持たぬ
もの』

真っ平だ。
もうこんな窒息は
ボードヴィルの閉じた空き箱で
だんだん死んでゆくヌイグルミより
継ぎ接ぎしたスクラップメタルより

寒い。

そんなふうに
寒く青白く
どこまでも冷たく
燃え

私は燃え続けるのだ。

死臭さえ無機質に
せめて凍てついた指の揺らめきから流れる血が明かければ

くちづけは
赦されるのだろう。

熱は地獄の確かさで渇く。

干からびた私は砕けて羽根より軽く降り注いでは、
あの清い眸を蹂躙し尽くし
黝い瞋恚の焔
赤赫と
私を憎んでくれたなら

奇跡以上に本望だ。

くちづけよりも尚白く
山梔子よりも尚甘い
浮遊する
骨の粉

魄を宿して消え残る。

投稿者

埼玉県

コメント

  1. 未発表の過去詩。
    新作はまだ余り書く気がしないので。

  2. @ヨダカの海
    さん。

    おはよう
    より先に
    おやすみなさい

    あなたは私の躰のすみずみまで口づけ
    私は何度も絶頂を迎えた
    あんなに壮絶に死んでしまうほど感じたのに
    まさか“カンジタ”だなんて…

    あなたがイカないのは
    私のあそこが気持ち良くないからなのね?
    それはウスウス知ってたわ
    私はガバガバなんだって

    ごめんなさいね。
    全部私が悪いのよ
    私がヤリマンだから、こんなにガバガバ…

    返詩の返詩

  3. @ヨダカの海
    さん。
    山田詠美「蛇にピアス」は途中まで読みましたよ。
    ってか、強烈だったので一発で昇天してしまいました。
    続きは明日の朝にでも。

  4. @ヨダカの海
    さん。
    本物の官能小説を読んだことはありますか?
    私は小5くらいの時、20才の姉がベッドの布団の下に隠してた官能小説を、何作か読み耽りました。
    1冊くらいは本物の官能小説を読んだ方が良いと思います。
    たとえ、詩人さんであろうとも。

  5. さようなら。
    気づかないフリをすれば良かった?
    とても寂しい…

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