酔拳ZERO

シェアや伝えることが
誰かの頭痛になる世界が
早く滅びればいいのに
その時は
俺たちを監視してる
Wi-Fiの電波ごと
送信機を破壊すればいいのに
メフィラス星人も
びっくりの変わり身の速さで!

道徳を語る奴が
マジで一番ヤバいって気づく前に
もう全てが手遅れになってんのに
おまえは
まだ朝がくるって顔をしてる

冷蔵庫の奥
賞味期限の切れた未来とミルク
焼酎で乾杯しながら
もう死んだはずの誰かの
LINEが未読で震えたりする夜に

Amazonから届いたのは
あなたの死に関する
お知らせという封筒

中には
「ご本人確認ができませんでた」と
だけ書かれていた

二郎に行って
冗談マシマシでと
注文したかったが

俺はコンビニの棚から
冷凍うどんを選び
袋の裏のカロリーを見て
この世界がもう終わってることを悟った

プラ容器の指紋から
今夜の悪夢が選ばれていく

脳みそが情報で飽和して
スパゲッティは宇宙船になり
俺の胃袋を亀甲縛り
店員は
30秒の電子レンジ加熱で
時間と空間をねじ曲げる

ピーピーッ
できあがりと共に
全ての電波塔が
まるで歴史と陰謀を消化する
エンジンみたいに
海ほたる

便座に座ったまま
国家予算の配分について
考えていたら
トイレットペーパーの芯が
自我について講義を始めた
巻かれる人生
それでも回る地球

ふと気がつけば
洗濯機の中で靴下が片方だけ
別次元にワープしていた
もう片方は
哲学者になって戻ってきた
助けてピタゴラス!

カップ焼きそばの湯切りで
世界が洗われる瞬間
俺は知ってる
あの湯の中には
古代ギリシャの神々が
パスタに転生する未来があるって

邪魔をするな
チキショウと口を開けたら
中にはカタカタ震える
小鳥が一羽いた
俺の歯の代わりに
許してくれと
鳴いていた

出て行けと
舌で
そいつを追い出そうとしたら
奥歯のあたりから
会った事もない
祖父の笑い声がして
遺言がはまってた

「誰にも言うなよ」って
小さく折りたたまれた秘密が
歯茎に刺さって
血の味はまるで
アルコール入りの讃美歌だった

真夜中の台所
冷蔵庫の光だけが
全てを照らし
その中には
一度も開けられなかった
未来への手紙が
冷やされすぎて
バリバリに凍ってた

俺は酔ったままそれを
トムヤムクンに入れて煮込んだ
古代文字はすべて溶けた

朝が来て
猫が吐いた毛玉の中に
「Re:人生」という件名のメモが入っていた
思わず吹き出して
笑って
笑いながら
俺は酔拳決めて
笑い終わらないまま眠った

投稿者

東京都

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