深夜散歩

信号機は眠りこけた幽霊
静止した渡り鳥
川面に揺れる青いネオン
昨日に連れ去られないよう
手だけは
離さないで
真夜中が聞き耳を立てるから
いつの間にか
内緒話してるみたい
冗談を言い合った後
冗談でよかったっていうのを
繰り返す
明日を
起こさないように
口づけて
春の闇の
ファスナーを閉じる
私たちを目撃したのは
一匹の鼠だけ

投稿者

東京都

コメント

  1. 「真夜中が聞き耳を立てるから
    いつの間にか
    内緒話してるみたい」
    ここ好き。

  2. ありがとうございます。詩は私にとってはラブレターみたいです。遺書か。

コメントするためには、 ログイン してください。