人生は選択したのち洗濯

見る景色が同じものばかりになった
食器の溜まったシンク
シールだらけの床
いつからあるか分からない靴下

教えてあげたいね
ただヤりまくってた頃の自分に

雨の日が続く絶望(洗濯物)
やっと訪れる晴れの日の歓喜(洗濯物)
どちらの日でも関係なく外に出たい小人たち(わたしに選択権はないし、洗濯したらそれだけ畳まなきゃいけないし)

 あの頃は
 憧れに近づく自分と
 愛に飢え渇く自分を
 飲み干せなくて
 隠れていた
 夜に

 覚えているのは
 黒いカード
 いろんな形のおもちゃ
 煙草と車の鍵の置き場所
 それぞれの指先
 うすっぺらくて
 それでいて温かかったことば
 ひとりひとりの顔
 忘れた名前

姓が変わり
子を持つということは
山を歩き続けて
或いは空を仰ぎ見続けて
終わらない遥か先に飽きることなく
胸がときめいて高揚し
それでいて清々しく呼吸が荒くなる
靴の汚れを気にする余裕はない
天気だけは気にする(洗濯物)
山も空もどこまでも続く
そんな感じ

 わたしはどうして
 あゞも満たされていなかったのかな
 夜に隠れれば隠れるほど
 ベッドに沈み込む身体が軽くなるように感じた
 ふたりで寝ても
 ひとりで寝ても
 朝焼けの眩しさと白さは変わらなくて
 ただただ気持ちよかった

教えてあげたいね
大丈夫だよって
人生は選択したのち洗濯
汚れれば洗って
洗えば干して
干せば乾くから
そしたらまたいい匂いがするから
それらが並んで風に揺れる景色も悪くないから

投稿者

大阪府

コメント

  1. 大量の洗濯物をたたみながら思い浮かべている昼の青空と夜のやるせなさ。
    こんな言い方は現代ではあまりよくないのかわからないけど、性の回顧は男のほうがどうもウェットになりがちだと思うのだが、女性はささくれたトゲは感じながらも昇華させていく。女性と言う性(生)は。
    全てが能天気にハッピーな人生なんてないけど、幸せを見出すのは女性のほうが優れていると思う(男は幸せなんてぼっとしてて気づかないのか)
    洗濯も上手だしね。僕はなんどやってもシワ伸ばしすらできていない。

  2. 時間とともに変態する女性の環境や心の内側がとてもリアルに描写されていて、しかも読後の現在への肯定感が心地よいですね。
    男がおっさん化する様は詩にもならんのかな〜。
    いや、してみたいな。

  3. 青春を回想しながら、6連でぐっ・・・と来て、すばらしい終連を含め、詩的な説得力のある詩だなぁ、と思います。

  4. 王殺しさん、同感です!なんでなんですかね。詩に昇華(消化)させるのも割とサクサクいきます。その当時はジメっとしてたこともあるんですけどね。一度「過去」になると強いですね、女性は。

  5. あぶくもさん、ありがとうございます!普段、自己肯定感は低めですが、詩だとそうならないのが自分でも不思議です。
    おっさん化!ぜひ読みたいです!^ ^ 知らない世界のはずだから。

  6. 服部剛さん、ありがとうございます。褒め言葉が素直にうれしかったです^ ^
    まだ詩書けるんだな、わたし。と思えた詩でした。私にとっても今回のは。

  7. この詩から、自分や世界と向き合う強さのようなものを感じます。

    教えてあげたいね
    大丈夫だよって

    というのが、ほんとそうだなぁ、教えてあげたいなぁ、と思います。(私の場合、これからもいろいろとあるでしょうが)
    そして、最終連で、優しい気持ちになります。

  8. ナツコさんのストレートな書きぶりが好き。
    〉ただヤりまくってた頃の自分に
    いえーい!って思いました。
    こんなにおしゃべりな洗濯物があるんですね。
    我が家は畳めていない洗濯物を溜め込んで一週間経ちました。あーあ。

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