昭和から令和〜夏の記憶

仰がなくとも尊し
真夏のヒートテック
塩で固まり
観音様の三千世界
オリオンプレアデス流星群
シャワー浴びて生き返った

ドライヤーの熱風で
過去の俺を少し乾かし
金鳥の香りと母の背中
ベランダに干された天の川

ああ 夏ってのは
思い出を焼き増しして
神話を団地の裏に吊るす季節

北斗七星で水くみ上げて
野球場にバラまいて
陽炎の向こう側のトンボ
ボウフラが飛び交う水たまり

さぶいぼが 教える
真夜中の宇宙人
おもてなしとは裏ばっかりの
大阪万博

あれもこれも夢だった
炭酸水に溶けた記憶たち
透明なままで
ラムネの瓶の中で眠っていた

夜空に浮かぶ
巨大な打ち上げ花火
富士山の上から見れば
光の検閲だって
お前が言ってた
ある夏の日