星屑の頭屑 1
『さよなら関節』
心から出汁を取る
全身
グリーンのおめかし
くしゃくしゃの顔で
断末魔の笑みを浮かべる
無邪気な瞳の滞空。
〝あたしの得意料理はロールキャベツなの〟
可愛子たちの、
健気な瞳の、
あじみ。
〝クシャクシャ〟
関節を力なく折り曲げ
まだ
遠くを見果てていた。
─ ─ ─
まな板から這い出た焼け氷をちろちろ
イヌみたいな瞳で舐めている。
─ ─ ─
『ときめきブルー』
異国でひこうき雲が
方位を誤り
井戸端会議 最中の
舌(べろ)の下へ ドカン
───── ───墜落していった
煙が立ちのぼるが
嘆かない
めずらしくもない。
ガスコンロに火ぃつけるくらい
あたりまえ
しけもくをすり潰し
カラカラ 笑った
─ ─ ─
虫のようなタイルが
青とみどりで爽やかに
張りつく扉。
誰もが目を背けて逃げていく。
鍵をかけていない かけないで居る。
ドアを 抉じ開ける手が
何処かにきっとある
─ ─ ─
─ ─ ─
『アンバランスラビュー』
女は、興奮とも 混乱ともつかない顔で
卵を三十三個かち割った。
赤いりんごを
かあっと
頬の内側の肉へ留めたような
恥じらいのピンを付ける。
〝だ舌巻たまご、つくるの〟
─ ─ ─
『狂騒リズミカル』
─ ─ ─
ピアノの前で、
ふと沈黙が流れ出す
心の譜面を失くした──
涙が鳥になるまえに
空の裂け目から
〝骨と瞳〟で織られた鍵盤が降ってくる
恐ろしいほど
リズミカルに
神経をずたずたに
轢いていく
破綻の歯軋りが鳴る。
瞬きが部屋中へ心音をばらまく。
『あたしを縫い直して』
空の中央から真っ赤に世界を切り裂いて
やって来る。
心臓が急にくるくる回転し、
ブレーキを手首ごとフッ飛ばした。
鬼ごっこをしながら隠れんぼ、
合図の笛が鳴る
どちらが鬼で
どちらが追われる立場だ
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