『実存的、或いはニヒリズムと化した通勤風景』

・朝、通勤中に睡魔に襲われる、立ってはグラッと意識飛び、歩いては蛇行、座った瞬間に寝ている。人の目など気にしない。
・降車する時間に設定したアラームに、全てを託している、1分前では再び寝てしまう。
・アラームが鳴り、反射的に横並びの席から立つ、鞄とスマホが床に落ち、スマホからICOCAと入構証が散らばる。
・電車の扉は閉まろうとしている、人混みの中で慌てて拾い、辛うじて駅に降りることが出来た。髪は乱れ、ズボンからシャツが出ている。
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・サラリーマンの通勤とは戦いである。勿論、敵は内にある。
・徒歩で会社にたどり着くまでに、身だしなみを整え、冷たい缶コーヒーを飲んで頭をスッキリさせる。そして何くわぬ世間体の顔を纏うのだ。
・微笑みを浮かべ、例の何もかも満足している風の態度で入構し、「おはようございます」と声を掛ける。良い上司、良い部下を今日も演じる。
・実存は本質に先立つ、とはこの場合、本質は通勤風景であり、実存は会社内で被る仮面である。
・しかし私が何者であるかは、私が決める。つまるところ実存する私とは、自宅の書斎にいる私であり、音楽を好み本を読む人、その類いだ。

投稿者

大阪府

コメント

  1. うん、なんか好きやわ、この感じ。
    すみません、唐突に。
    コメントになってませんが。

  2. コメント、ありがとうございます。
    この世界に対する違和感とか、それでも、ここで生き続けなければならない、的な。或は、自分が実は異星人かも知れない、的な感覚を言葉にしています。

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