
岩の波動
港を見渡せる高台の公園には女の哀しみが岩となって埋まっている
いびつな形の玄武岩、亀裂が何本も入った流紋岩などだ
岩の波動が交差する時、雫が出るらしい
大粒の雫は翡翠色の滲みとなって種子を育む
そんなわけで岩の上には樹齢のわからない楠が根を張っている
根を張る楠の樹皮は深緑の苔で覆われ、公園は苔から出る胞子に包まれる
女達の魂のしんくうを胞子は満たす
胞子が無くなると魂は朽ちていき岩に溶け込む
今ぼくは岩の上に寝そべり、雲ひとつない空を見上げている
冷たい岩からの美しい旋律を聴きながら
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