『根っこ、或いは、記憶と検証、帰るとき、帰るところ』

・帰る時、帰る場所がある、運動など一つしたことがない運動音痴が、大学で合気道部に入部する。
・三年後、主将となって同期、後輩を引っ張るお役目をいただく。
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・夏練習、もう引退も見えている頃、昼練の予定と分かっていたが朝から道場にいく。
・床掃除を済ませ、一人、爺先生(植芝盛平先生)の写真の前で正座し、深く礼をする。
・畳の匂い、誰一人いない静粛、入部から今までの記憶が甦る。
・数時間、目を閉じて座り続けた。
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・最初は雑念が、来年は就職活動だの、将来の不安、過去の嫌な思い出、等々。
・ふと閉じた目を開いた、変わらず爺先生の写真が目の前にある。
・と、今、ここが、自分そのものである、ここが私の根っこであると、理解した。
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・空気を深く吸い、深く吐く。社会に出たら、大変な経験をするかも知れない。
・大丈夫だ、私の根っこはここにある。どうであっても、自分であれば良い。
、腹は据わった。
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・しばらくして、後輩たちが道場に入る音が聞こえてきた。
・今、この空間、場所が、あまりにも尊く思えて、練習を始めるまで正座を続けた。
・これは一種の宗教体験かも知れない。
・今、何処でもこの時空に戻れる。何故なら、私という人格、精神、行動の根っ子はここにあるからだ。
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・遠い未来も見える。臨終、この世を離れるときの最後の場所でもある。
・そのときは一人ではない、師範、コーチ、先輩、同期、後輩たち、父母、妻、友人たちが横に、前に、後ろに正座しているだろう。

・子よ、お前の根っ子を見つけなさい。
・一生で一回くらい、本気に、全力をぶつけれる人たちを見つけて、ぶっ倒されて、生まれ変われ。
・待っているぞ。

投稿者

大阪府

コメント

  1. @たかづき しの様
    そうですね〜、武道体験というか、過去の思い出、みたいなことを言葉にしました。

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