水晶

少女は暗い部屋をでて
あたたかい場所へと戻る

夢の中ではJが
優しく微笑みかけてくれていた

少女は起きると安心して
新しい部屋へと戻った

夜になると少女は旅に出て
朝になるとひとりでに帰った

そのたびごとに少女は
一つずつ
命を取り戻した

12の心は
12のピースに
割れていたけれど

やがてひとつの
かがやく水晶となった

いつの間にか
時が過ぎても

水晶はきらきらと輝いて

きらめく思い出だけを
とじこめながら
少女のそばにいた

老女になっても少女は
時々その水晶をとりだして
ひとりながめては
幸せなためいきをついた

大切にすれば
大切にされ

命をふきこめば
命はめぶいて

手をさしだせば
その手はとられた

そんな記憶たちを
そっと愛しみながら

今夜も同じベッドで
ねむった

投稿者

コメント

  1. すてきな少女と水晶ですね♪☆^^
    この詩は、その様子が良く表されています。

  2. @こしごえ
    さま、
    このたびはお読みいただき、コメントもありがとうございます。
    「すてき」と言っていただけて、とても嬉しいです。
    ありがとうございました!

  3. とてもやさしいイメージです。素敵。

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