
094
わだかまりを引き摺ったまま
辿り着いた朝
とびっきり苦いコーヒーで
昨日を飲み下す
垣間見る液晶は
物価高とゴシップと
ヒトやモノが傷ついた話ばかり
息が詰まるような気がして
窓を開けると
わずかに湿り気を帯びた風が
クシャクシャに丸まった意識を
キッチンまで転がしていく
ふと
何の脈絡も無く
自分が「言葉使い」の
端くれであることを思い出す
書かない
書きたくない
書く意味がわからない
書けない それでも
書こうとしてしまう性が
なんとも煩わしい
なんとも煩わしいくせに
椅子の足元で
クシャクシャに丸まった意識を拾い上げて
テーブルの上で伸ばそうとしてしまう
自分と正対するために
自分を取り巻く
景色と正対するために
自分を取り巻く景色と正対して
自分を取り戻すために
今日という日の上に
垂直に立ってみようと
愚かにも思ってしまう
コメント
nonyaさんの詩人としての矜持を感じる作品ですね。最後にとてもとても共感します。